スタイリスト、ミモレコンセプトディレクターの大草直子が着こなしのアイデアや日々の思いを綴ります。

今日は青山のスタジオで撮影です。空がすごいことになっています。何とか、という映画で見たような、自分を深く受け入れてくれるような、どこか遠くに連れていってくれるような……。しばし見入ってしまいました。

 

大きくて広い空を見ていると、いかに自分の存在や世界観、もしかしたら正しいと思っている価値観が小さく無力であると思い至ります。とことん自分と向き合った、3月からの3か月を経て、余計にそう感じるようになりました。

自分だけの物差しで人を判断して、批判したり責めたり、ジャッジしたりするのはやめよう。その人の在り方や物事への向き合い方に、浅薄に点数をつけるようなことはやめよう。私は、そう思っています。

そして、画一的であることや、常識や今までの習慣に倣うだけで安心することを捨てて、色々な考え方、思考、嗜好、マナーをリスペクトしたい、それを知ることができる自分を面白がりたい、と思います。

思いがけず、いつもより触れる時間が増えたテレビやSNSを見たり聞いたりして、少しがっかりしたり疲れたり。また、もう全く新しい時代のコモンセンスを軽々と実行している、19歳の長女をはじめとする子供たちとたくさん話した結果かな、と。通常業務が始まって、3月以前の自分とはまた違う考え方が生まれたことに気づき、あの自主幽閉の数か月も決して無意味ではなかった、とほっとしました。

批判するより「自分が美しいと思うこと」を実行しよう。
怖がるよりおもしろがろう。
「でも」というより聞いてみよう。
新しい価値観を一度は実践して、それから判断しよう。
実際によく知らない人のことは「知ってから」ジャッジしよう。
新しい日常の新しい地図や時計に従おう。
他人を思いやり、愛そう。

これ、47歳より先の私のコモンセンスです。これからの自分にも世界にも、そして価値観にもワクワクします。

みなさんの「美しさの基準」や「心地良い価値観」はどう変わりましたか?

こんなふうに東京で広い空を見られたことに感謝しながら、このつながった空の下で。日本で世界で、どうかどうか、これ以上恐怖や被害が広がらないように――と祈る朝でした。
 

大草 直子

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