時は令和。いろんな形の結婚というものがあっていいと思うのですが、今回もまた、ぶっとんだ晩婚カップルの登場です。

真梨さん、40歳。正男さん、50歳。今年の2月に入籍したばかりの新婚さん。真梨さんは東京、正男さんはN.Y.に暮らす、別居国際婚カップル。真梨さんはウエディング関係のフリーランスとして活躍し、仕事でいろんな国を飛び回るアクティブな女性。天真爛漫キャラと年齢不詳な童顔で、海外では高校生と間違えられることもあるとか。


30代は結婚にも真剣交際にも興味がなかった


今回取材した真梨さんと正男さんは、結婚後一度も一緒に暮らしたことがないという、〝別居国際婚〟。しかも、一度しか会ったことがなかったのに、二度目の再会のときにプロポーズされての、電撃婚。

この取材をしていて毎回思うのですが、「人生、何が起きるかわからない」。そして、夫婦って実は世間で言われているよりもすごく自由で、いろんなスタイルがあるということ。

35歳くらいから、「もうステディな彼はいらないかなあ」と思っていて結婚願望がなかった真梨さんは、まさか自分が40歳で電撃婚するとは思っていなかったそう。

さかい:なぜ結婚に興味がなかったんですか?

真梨さん:20歳くらいのときには人並みに、結婚に興味があったんですよ。だけど既婚者と不倫したこともあるし、私はウエディング関係の仕事をしているので、いろんなお客様を見てきて結婚のメリット・デメリットも見えてくる。日本の結婚って「家と家」感がすごくあって、相手の肩書きや家柄も気になるし、苗字が変わるのもめんどくさいし……、ってなると、めんどくさがり屋の私にはあまり魅力が感じられなかった。付き合っている人に「結婚しよう」って言われたことはあっても、ピンと来なかったんです。

可愛がってくれる男性やデートをする相手には困らないし、仕事も順調で楽しいことがたくさんある。自分は自由人で結婚に向いているタイプでもないし、「結婚はしないで、パートナーでいいや」とも思っていました。

けれど、ちょうど去年の年末頃、周りのバツイチの女性たちが再婚したり、「また結婚したい」というのを聞いて、「結婚ってそんなにいいものなの?」と思い始めていたのです。
 

 

お互い年齢も職業も知らないLINE友達からスタート


翻って、真梨さんが旦那さんとなる正男さんに会ったのは、去年8月のこと。

姪っ子がN.Y.に3週間滞在してインターンをするというので、好奇心旺盛な真梨さんは姪っ子にくっついていって、夏の間、一緒にN.Y.で暮らしていました。浴衣を着て参加する納涼クルージング会というものに誘われて、そのとき、船を降りる直前5分間にたまたま同じフロアにいて会話を交わしたのが始まり。

真梨さん:そのときは全然いいとも思わなかったし、向こうも私のことすごく若いと思っていて、対象外だったみたいです。向こうでは大学生の姪っ子と一緒に行動していたこともあって若く見られていたので、めんどくさいから「23歳」ってことにしてたんですよ。

謎に10歳サバを読む真梨さん(笑)。

 

バツイチで、26歳の息子がいる正男さんにとって、息子より年下の真梨さんは恋愛対象外だったよう。

そのときは、「またN.Y.にひとりで来たときは、ご飯でも行きましょう」と社交辞令と連絡先を交わして別れ、それっきり。

それが、そのあとひとりでハワイに行った真梨さんが、ヒマだったので正男さんにLINEを送り、そこからLINE友達に。けれどお互いにLINEに登録してあるニックネームしか知らず、他愛ない会話のみのラリー。

真梨さん:アーティスト気質の彼は、とにかく変わっていて。自分のことも多くは語らないし、こっちのことも一切質問してこない。「この人、一体何をしてる人なんだろう?」と思って、「何でN.Y.にいるの?」と聞いたら、アートと音楽が好きだという理由だけで、会社を辞めて、ビザもないのに幼い子供を連れて、当時の奥さんとN.Y.に渡ったと言うんです。その後すごい苦労して、現地の日系企業に就職して、今はグリーンカードを取得して暮らしている、と。


「愛がすべて」な彼の生き方に共感!


そんなわけで、未だ真梨さんの年齢が23歳だと思い込んでいる正男さんとのLINEは日本に帰ってからも続き、仲が深まったのは、10月の台風のとき。

 

東京にも台風上陸で危険だというニュースを聞いた彼が、心配して連絡をくれたのです。ひとり暮らしをしていて心細かった真梨さんは、ここで始めて正男さんに電話をかけました。

が。このときもまだ真梨さんは、「それでもまだ全然ピンと来てなかった(笑)」、とか。

でもこの電話での会話がきっかけで、お互い徐々に人柄を深く知るようになります。例えば、正男さんのアートに対するピュアな想い。

東京で仕事をしてきて、ビジネスで成功している人が勝者というような価値観に疲れていた真梨さんは、10歳年上なのにスレていない正男さんの生き方にシンパシーを感じました。

真梨さん:彼には「女性はこうあるべき」というような妙な偏見やこだわりもないし、年上だからって上から目線でアドバイスしてきたりもない。今まで偉そうにお説教してくる男性が多かったので新鮮でした。そして、「好きな人が居て、絵が描けて、ご飯が食べられればそれが幸せ」という価値観の持ち主。何だか、「愛がすべて」、みたいな人なんです。そんな生き方が、尊敬できるなって。


ああ〜〜〜〜〜〜〜……。アラフィフの男性で、それはもしかしたら希少かも。
この年齢になると、若い頃には思いもしなかったことが男性の魅力に感じることが、多々あります。それは、経済的にも自立している大人の女性の余裕が与えてくれる、新たな視点によるもの。
正男さんの真っ直ぐな生き方も、もし真梨さんが若かったら「愛だけじゃ食べて行けないんだよ!!」と思っていたかもしれないもの。

さて、日本とN.Y.の時差は昼夜がほぼ真逆。彼は毎回、現地時間の朝5:30に起きて出社前に真梨さんに「おやすみ」を言うために連絡をして来ていました。徐々に正男さんは、真梨さんが好きだと言った曲を口笛で吹いた音声メッセージや、好きなアーティストのyoutubeを送って来たりと、ロマンティストな片鱗を見せ始めます。

真梨さん:言葉もなく、LINEの音声メッセージに口笛だけ入ってるんですよ。変な人ですよね(笑)。

さかい:いやいや、ロマンティックで素敵じゃないですか〜〜〜! 大人の男性にそんな風に想われるの、いいなと思いますよ。


この頃には、真梨さんも彼のことを、「いい人だし、素敵だな。この人と一緒に居られたら幸せだろうなあ」と思うようになっていました。

そしてある日。「僕の50歳の誕生日に東京に行こうと思うんだけど、会ってくれる?」と、正男さん。

まさか、このとき、会って2回目でプロポーズされるとは、真梨さんも思ってはいなかったのです。

イラスト/いとうひでみ
構成/川端里恵(編集部)

 

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