もう振り込まれた人も、まだの人も、10万円の給付金を何に使うか決めましたか?
手堅く貯蓄するべきなのか、好きなものでパーっと使っていいのか。夫の分、子どもの分はどうすべきなのか……。
考え方のヒントを話題の『日本一わかりやすいお金の教科書』の著者でファイナンシャルプランナーの深田晶恵さんに聞きました。

 


使い道の選択は大きく分けて3パターン


――10万円の使い道について、まだ迷っている人が多いみたいです。

 

深田晶恵さん(以下深田):そうですよね。私は仕事柄、最近はいろいろな人に「何に使う?」とリサーチしているのですが、おおむね、次の3パターンに分かれるようです。

① 生活費・教育費に消える
② 貯蓄する
③ 好きなことに使う

みなさん、どれかに当てはまるのではないでしょうか。


――40〜50代では①の子どもの教育費という可能性が高そうですね。

深田:この夏のボーナスが出なかったり、収入が下がってしまった人の場合は、何に使おうかと迷う余地もなかったようです。話を聞いた40〜50代の人のなかには、もらったと同時に「教育費として消えてしまった」という人も少なからずいました。当然ながら、そのあたりの事情は人それぞれです。
 

貯蓄が正解ともいえない。その理由は……?


――では、①以外で選択の余地がある人の場合はどうですか?これだけ先行きが見えない時代ですし、やっぱり貯蓄したほうがいいのでしょうか。

深田:もちろん、貯蓄はとても大切です。でも、だからといって給付金も貯蓄すべきとは思いません。今年刊行した書籍、『日本一わかりやすいお金の教科書』でもお伝えしているように、そもそも貯蓄というものは、毎月のお給料やボーナスの中から先どりで積み立てていくのが基本。

今までそれができていなかった人は、今回の機会をチャンスに変えるべく、改めて家計の収支を見直して貯蓄を始めましょう。ただ、それはこの10万円を貯蓄の原資にということではありません。給付金とはまったく別の“やるべきこと”です。

私自身の例でいえば、秋以降に収入が減りそうなので、月々の支出をコントロールするなどの対策をしなければと思っています。ですが、私と夫の給付金は全額、2人でおいしいものを食べるのに使おう!と決めています。
 

――好きなように使うのって、ちょっと気が引けないですか?

深田:そんなふうに思わなくていいんです!今回の給付金は、ステイホーム期間とその後も続いている“自粛のガマン料“と位置づけて考えてみてはどうでしょう。旅行を控えたり、外食を減らしたり、外での趣味に没頭できないなど、誰しもこの数か月、これまでの生活と全く違うことを強いられ、ガマンにガマンを重ねていますよね。

私の場合は夫の高齢の両親と同居していて、ステイホーム中から神経をすり減らしてきたこともあり……自分たちの給付金は好きなことに使おうと考えたのです。
 

子ども支給分の10万円はどうする?

 

――一人ひとりに給付された10万円なのだから、好きなように使うのは自由ってことですね。ただ、子どもの分として給付されたお金をどうするか、これも悩みどころです。

深田:たしかに、子どもの人数次第では多額にもなりますし、子どもの分は本人のために使わないといけないような気がしてしまいますよね。みなさんがもっとも迷うところかもしれません。

子どもの年齢によりますが、物心ついている年頃なら、たとえば10万円のうち1万円だけをお小遣いにして、何を買いたいのか、使い道を一緒に考えるのもいいのではないでしょうか。


――なるほど!その方法なら、マネー教育も兼ねることができていいですね。

深田:とはいえ、そうしなければいけないとは思わないでください。私の知り合いは、子ども分の給付金で冷蔵庫を買い換えたりもしていますよ(笑)。この給付金への意識が高い子どもにいろいろ聞かれたら、年齢次第では将来の学費に備えてもいいと思います。

家族で使い道を話し合うこと自体が難しかったり、それがストレスになってしまう人もいるはず。無理せず、悩まず、このお金はこの状況に対する「“ガマン料“=何に使ってもいいんだ」と気楽に考えましょう。ですから、貯蓄に回すべきだと思った人は、それはそれでいいのです。

思いがけず舞い込んだ給付金なのですから、なるべくストレスのない使い方をしたいですね。
 

 

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構成/黒澤彩

 

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