2020年7月1日よりはじまった、プラスチック製買い物袋の有料化。
今までは、買い物のたびに無料で受け取っていたレジ袋ですが、この有料化を機に、マイバッグを使いはじめた人も多いのでは?
近頃はレジ袋有料化だけでなく、飲食店での紙ストロー導入など「脱プラ」への取り組みが続々と始まっていますが、その背景には深刻な「海洋プラスチック汚染」の問題が存在しています。

 

今、世界中で注目されているSDGsとは、「持続可能な開発目標」のことで、世界が達成すべきゴールを17の目標で表したもの。
その中のゴール14「海の豊かさを守ろう」を達成するためには、海の生態系を守りながら、資源を持続的に開発していくことが重要です。そして、「海洋プラスチック汚染」問題の解決は、海の生態系を守ることにつながっていると考えられているのです。

 

世界中で深刻な問題となっている「海洋プラスチック汚染」


私たちの生活に欠かせない便利な素材・プラスチック。しかし、このままプラスチックの生産量が増え続け、使い捨てをし続けたら、海はどうなってしまうのでしょう?
リサイクルされなかったプラスチックごみは、自然分解せず半永久的に残ります。そしていまも、大量のプラスチックごみが、海へと流れ込んでいるのです。
おどろくべきことに、世界の海には毎年800万トン以上のプラスチックごみが流入しています。この状態が続くと、2050年には海洋プラスチックごみの総重量が海に生息する魚類の総重量を超えるだろう、という予想が発表されているほどです。(世界経済フォーラム(ダボス会議)2018)

その影響は、海の生物だけにとどまりません。海に流入したプラスチックごみは、紫外線や摩擦で分解されて「マイクロプラスチック」となり、海面や海底などに留まります。「マイクロプラスチック」は、摂取した海洋生物の体内に取り込まれ、食物連鎖を通じて海の生態系全体に広がることで、人体にも大きな影響をおよぼすことが懸念されているのです。

大きな問題をもっと身近に


海洋プラスチック汚染をはじめとしたSDGsの課題は、ともすれば目標が大きすぎて、ピンとこないかもしれません。それに、世界や社会の問題といわれても、身近に感じることが難しい……と思う読者も多いのでは。
しかしこれまで述べたように、これらの問題は私たちの生活に密接に関わっているのです。

そこで、環境問題を身近に感じ、水の大切さや命のありがたさを考えるきっかけにぴったりな絵本をご紹介します。
日本語の「もったいない」をキーワードに、「水の循環、命のつながり」をテーマにした『もったいないばあさん かわを ゆく』(作・絵 真珠まりこ)という作品です。

作者の真珠まりこさんが、「もったいない」ってどういう意味?と子どもから聞かれ、うまく答えられなかったことがきっかけで、「もったいない」の大切さを教えるために生み出されたのが「もったいないばあさん」。2004年に発表された1作目『もったいないばあさん』は、ロングセラーの名作絵本として、現在も世界各国で親しまれています。

「もったいないばあさん」は、どこからともなく現れ、「もったいない」という言葉の意味と大切さを伝えてくれるおばあさん。
日々のくらしを豊かにする生活の知恵、環境問題、生物多様性まで、「もったいない」をキーワードにさまざまな事柄をわかりやすく教えてくれます。

 

この『もったいないばあさん かわを ゆく』では、川にペットボトルを捨てようとする男の子のもとに、もったいないばあさんがあらわれます。
なぜ、川へごみを捨てることが「もったいない」のか。それを知るために、川の上流で出会った「川のあかちゃん」といっしょに下流への旅にでる、というストーリー。川を舞台に、水の循環、命のつながりを感じられる絵本作品です。


作者より:
2019年インドのガンジス川を上から下までくだる旅をしました。
川は、私たちの暮らしになくてはならないものですが、私たちだけでなく、いろいろな生きものたちにとっても、命が生まれて、育まれる場所。そして、川は、まるで地球の血脈のように世界中にあって、海と空でもつながっている…
ということなど考えているうちに、1冊の絵本にする発想を得ました。
インドだけでなく日本の川もいっぱい歩いて得た気づきも、この本の中にたくさんこめられています。

「もったいないばあさん」ウェブサイトより引用)
 



すべての人々が、持続可能な社会の実現について考えるために
 

2004年に1作目が刊行して以来、シリーズ17作品・累計100万部を超え、日本全国、そして韓国やベトナム、中国、フランス、インドなど、さまざまな国で親しまれている「もったいないばあさん」。
2020年6月には、講談社と環境省が共同プロデュースする「もったいないばあさんプロジェクト」により、シリーズ4作品を6言語(日本語、英語、フランス語、スペイン語、中国語、ヒンディー語)でアニメ化、全世界へむけて無料配信をスタートしています。


あなたもぜひ、「もったいないばあさん」の絵本・アニメをきっかけに、海洋プラスチックごみや食品ロスなど、環境をめぐる様々な問題をもっと身近に考えてみませんか? さあ、レッツ「もったいない」!


試し読みをぜひチェック!
▼右にスワイプしてください▼
(実際の絵本は右開きです)

「もったいないばあさん」アニメ (全4タイトル:6言語で順次配信)
『もったいないばあさん』
『もったいないばあさんの いただきます』
『もったいないばあさん まほうの くにへ』
『もったいないばあさん かわを ゆく』

「もったいないばあさん」シリーズ イッキ見はコチラ>>


■原 作: 真珠まりこ『もったいないばあさん』(講談社)
■出 演: 戸田恵子ほか
■アニメーションプロデューサー:廣瀬清志
■アニメーション制作:editz×LIDENFILMS
■監督・絵コンテ・編集:梅津明美
■プロデュース・製作:講談社
■公式サイト:https://mottainai-baasan.com
■公式ツイッター: @mottainai_anime

『もったいないばあさん』の本
作・絵:真珠まりこ

『もったいないばあさん』


「もったいない」って、どういう意味? もったいないばあさんが、今日もぼくの家にやってきた。ぼくが捨てようとした物で、いろいろなことをしてくれるんだ! 物を大切にする心が自然に育つベストセラー絵本



 

『もったいないばあさん かわを ゆく』


川へゴミをぽいっとしようとすると、もったいないばあさんが「もったいな~い」とあらわられました。どうして川へのポイ捨てがもったいないのか、川の上流へ見に行きます。上流で出会った川のあかちゃんといっしょに下流へと旅をしていくと、見えてきたのは……。川を舞台に、水の循環、命のつながりをテーマにした絵本
 

『もったいないばあさんの いただきます』


好ききらいをしていたら、もったいないばあさんがやってきた。いろんな食べ物の役割を、楽しく教えてくれるよ。大切に作られた食べ物、残すなんてもったいない!




 

『もったいないばあさん まほうのくにへ』


まほうのくにへやってきたもったいないばあさんは、マジシャンのマジマジさんと出会い……。 本の後半ではマジックのあそびかたを紹介。分別マジックができる、紙、プラスティック、ペットボトル、あき缶の絵がはいったオリジナルトランプの付録つき。


 

構成/北澤智子