棋士の藤井聡太さん(七段・17歳)が最年少タイトル挑戦記録を更新し、今また注目を集めています。
14歳でプロ入りし、最年少棋士記録を62年ぶりに更新したのをはじめ、数々の最年少記録を打ち立ててきた藤井棋士。今回の棋聖戦五番勝負では、第1局で渡辺明棋聖を破り、タイトル戦初勝利を収めました。今後はどんな対局をみせてくれるのか、ますます目がはなせません。

そんな大注目の藤井聡太棋士をはじめ、グーグル創業者のサーゲイ・ブリンとラリー・ペイジ、英国王室のウィリアム王子や長男のジョージ王子などが受けていた「モンテッソーリ教育」をご存知でしょうか?
 

モンテッソーリ教育って?


モンテッソーリ教育とは、イタリアで初めて女性の医学博士となったマリア・モンテッソーリが考案した革新的なメソッドです。
モンテッソーリ教育の基本理念は、子どもの自主性・協調性・社会性を育むこと。「集中力」や「自立心」が育まれるモンテッソーリ教育は、どんな子どもにもあてはまり、日々の生活に活かせるものばかりです。大人である私たちにも役立つ、普遍的な価値をもった思考・行動の教育方式が、モンテッソーリ教育なのです。
 

 

イタリア初の女性医学博士、マリア・モンテッソーリ


モンテッソーリ教育を生み出したマリア・モンテッソーリはどんな人だったのでしょうか。
モンテッソーリが生まれたのは1870年。当時は、女性は結婚して子どもを産み育てるのが当たり前、という時代でした。しかし、算数が好きだったマリアは工業系の学校に進学、その後、父の反対を押し切ってローマ大学に入学します。そして、医学部へ進学しイタリアで初めての女性医学博士となりました。
卒業後は、知的障害のある子どもたちの研究を重ね、科学的な根拠に基づいて、障害のあるなしにかかわらず教育が可能であることを確信します。その後は、ローマのスラム街に貧しい子どもたちのための施設「子どもの家」を開きました。
 

自由な環境と発達に即した援助


「子どもの家」は、子どもたちの自主性が重んじられ、主体的な活動ができる環境でした。そこでは、荒れていた子どもたちが、発達に則した援助を通して深く集中するようになり、見違えるような姿に変わっていきました。その様子を繰り返し観察したモンテッソーリは、この教育方法にこそ、平和への鍵があると考えたのです。

<モンテッソーリ教育の知っておきたいポイント>
1:子どもがいちばんよく知っている……子どもには自己教育力があり、自ら人格を形成する
2:大人と子どもは違う……大人の物差しで子どもを見ないで、観察から始める
3:子どもの発達は、自然のプログラムに従っている……無理に育てようとしても枯れてしまう
4:子供には「敏感期」がある……喜びにあふれ、幸せに学べる時期に気づく

日本でモンテッソーリ教育を受けられるのは、保育園・幼稚園が中心です。子どもたちの発達段階や敏感期に合わせ、「日常生活での体験」「感覚教育」「言語教育」「算数教育」「文化教育」を行います。
モンテッソーリ教育の現場では、
・子どもが主人公、大人は援助
・家具や用具は子どもにあわせたサイズ
・異なる年齢の子どもによる縦割り保育
・自由と責任のバランスをとる

などを特徴とした教育・援助が行われています。

また、モンテッソーリは子どもと大人のよい関係の指針として、「教師の心得12か条」を示しています。
「環境に心を配る」(環境を整え、間接的に子どもを導くことが重要)、「子どもの仕事を尊重する、質問したり、中断したりしない」(大人の一方的な都合で、子どもの仕事を中断したり妨げたりしないよう心がける)、「子どもの間違いを直接的に訂正しない」(子どものプライドを尊重し、子ども自身に気づかせるようにする。また、間違わないように仕向けることもしない)など、対象(子ども)をよく観察し、必要な環境を整え、自主性を尊重し対応する、ということが重視されている内容です。
※参考文献:「おかあさんのモンテッソーリ」(野村 緑:著 サンパウロ:発行)

これらは、子どもと大人のよい関係の指針でもありますが、大人同士、例えば上司や部下など立場の異なる関係の中でも、充分に活かせる考え方です。
あなたもぜひ、「モンテッソーリ教育」を生活にとり入れて、より幸せな人間関係づくりに活かしてみてください。
 

藤井聡太棋士も受けた「モンテッソーリ教育」が示す子どもと大人のよい関係とは?_img0

『モンテッソーリで解決! 子育ての悩みに今すぐ役たつQ&A 68』

モンテッソーリで子育て支援 エンジェルズハウス研究所所長
田中昌子:著

「なんでうちの子はこうなの。」「子育てがうまくいかない。」――。
幸せな子育てをしたいと思っているのに、なぜかイライラしたり叱りつけてしまったり。まわりに相談できる人も少ないなか、悩みを抱え込んでしまっている方が多いと感じています。

そんな保護者を応援しようと、田中昌子先生が始めたのが、日本初のモンテッソーリIT勉強会「てんしのおうち」です。
自宅でモンテッソーリ教育の理論を学びながら、子育て相談もできる画期的なシステムで、勉強会で学んだ方からは、「子育ての指針ができた。」「ブレなくなった。」という声がたくさん届いています。

この本では、「子育て相談 モンテッソーリで考えよう」に寄せられた質問に加え、モンテッソーリIT勉強会「てんしのおうち」に寄せられた1万5000通もの子育ての悩みの中から、どのご家庭にも役立つ68の質問を選び、お答えしています。

身近な悩みを通して、モンテッソーリ教育の考え方を知れば、今度はご自身で悩みを解決できるようになります。さあ、今日から、幸せな子育てをはじめてください!
 


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構成/北澤智子