コロナ禍によって、私たちはかつてないほどに「他者との関わり」を意識するようになりました。 
人と会えず会話が減ってストレスを感じる人もいれば、家族で過ごす時間が増えてある種の「しんどさ」を感じる人も。
そして、ソーシャル・ディスタンスやリモートワークなど、「新しい生活様式」によって、コミュニケーションの仕方そのものも変わりつつあります。 

でも、変化し続ける世の中で、ストレスフルな毎日を送りつづけていると、いつの間にか心も体も疲れ切ってしまうもの。
そんなときはぜひリラックスして、今回ご紹介する絵本を読んでみてください。 
動物たちのモフモフ感が伝わってくる精緻なイラストも、見ているだけで癒し効果抜群ですよ。

 

気持ちを素直に伝えることの、優しさと喜び

 

ひよこちゃんがねずみさんに「だいすきよ」。ねずみさんはうれしくて、あひるさんに「だいすき」。すると、あひるさんはうれしくて……。

動物たちが「好き」を伝えあうというシンプルな内容ですが、このシンプルさが、心に素直に響く絵本です。
好意を伝える事のうれしさと、伝えられた相手の喜びが伝播していくようすがほほえましく、ページをめくるたびに心がぽっと温かくなります。

毛並みの柔らかさや、しぐさのかわいらしさまで見事に表現されたイラストは、見ているだけで癒されます。

作者は動物細密画(ワイルドライフアート)の技法をいかした作風で人気の絵本作家・しもかわらゆみさん。
しもかわらさんの手から生み出される動物たちは、精緻でリアル。そして、感情表現もあふれんばかりにゆたかです。
みてください、この、ねずみさんの嬉しそうな様子!

 

動物たちの姿をみていると、「好き」と伝えるただそれだけのことが、こんなにも幸せを感じさせてくれるんだなあ……と思えてきます。
素直に気持ちを伝えるって、シンプルだけど大事なことなんですね。

 

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作者・しもかわらゆみさんより

「優しくされると、優しくしたくなる」って、とても自然なこと。
「優しくしなさい」と教えることも
「優しくしよう」と心がけることも大切だけど、
決意とか心掛けではなくて、自然と「優しくしたくなる」 
そんな循環の中で生きていけたら幸せだなあといつも思うのです。 

「すき」って伝えることも同じ。
「あなたを大切に思っているよ」と伝える。
 ちょっとした言葉でも、
わたしたちは優しさを感じることができるから。 

小さな優しさがグルグル巡り巡って……。
そんな循環の中でみんなで生きていけたら幸せだなあと思うのです。

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ぜひ、しもかわらゆみさんの絵本『ねえねえ あのね』を読んで、あなたも大切な人に「好き」の気持ちを伝えてみてください。


試し読みをぜひチェック!(実際の絵本は左開きです)
▼横にスワイプしてください▼

●しもかわらゆみの本●
 

『ねえねえ あのね』
ひよこちゃんがねずみさんに「だいすきよ」。
ねずみさんはあひるさんに「だいすき」。
あひるさんはうさぎさんに……。
すきなきもち、うれしいきもちが、動物たちのからだいっぱいに表現されています。

 

『おすわり どうぞ』
ねずみさんのいすは、ちいさなまるい、きのこのいす。うさぎさんのいすは、ふんわり、おはなのいす。あなたのいすは、どんないす?
読めばきっと、自分にぴったりの椅子をみつけたくなる。動物といすの組み合わせが楽しい絵本。

 

『ぽつぽつぽつ だいじょうぶ?』
ぽつぽつぽつ、雨がふってきました。
ちいさなねずみさんがさしたのは、きのこのかさ。うさぎさんがさしたのは、だいすきなにんじんのかさ。きつねさんとたぬきさん、かえるさん、くまさんは……。
雨の日の動物たちを繊細に描いた、梅雨の季節にもぴったりの愛らしい絵本。


しもかわらゆみ
東京都生まれ。千葉県在住。
2001年より講談社フェーマススクールズ(KFS)の通信講座にてイラストレーションを、同講座修了後はKFS直営教室で動物細密画(ワイルドライフアート)を学ぶ。2013年、同スクールが主催した「第7回KFS絵本グランプリ」にてグランプリを受賞。『ほしをさがしに』(講談社)で絵本作家デビュー。ほかの作品に『ぽつぽつぽつ だいじょうぶ?』『おすわりどうぞ』がある。

構成/北澤智子