前回は、まず投資信託を１本買いたい人に向けて、中立的な立場で投資信託を評価している朝倉智也さんにどんな商品を買ったらいいか、教えてもらいました。
今回は、投資信託を複数組み合わせて資産を築いていきたいという人向けに、どのように購入したらいいのか、マネーコラムニスト西山美紀と、投資超初心者の編集片岡が聞きました。
＜今回お話を伺ったのは……＞
モーニングスター代表取締役 朝倉智也さん
慶應義塾大学卒業後、銀行、証券会社にて資産運用助言業務に従事後、95年米国イリノイ大学経営学修士号取得（MBA）。同年、ソフトバンク株式会社財務部にて資金調達・資金運用全般、子会社の設立、および上場準備を担当。98年モーニングスター株式会社設立に参画し、2004年より現職。第三者投信評価機関の代表として、常に中立的・客観的な投資情報の提供を行い、個人投資家の的確な資産形成に努める。YouTube「ファンドの視点」に出演中。
国内株・先進国の株・新興国の株のおすすめ割合とは？
西山：投資初心者の方が投資信託を積み立てで買い始めて、「もう少し買ってみたい」「バランスを考えて、じっくり投資していきたい」と思ったら、どのようにアドバイスされていますか？
朝倉：投資期間が少なくとも５年、できれば10年以上という長期で考えられるのであれば、債券などに投資をせず、世界の株だけで100％でいいと考えています。
私が考える割合の目安は、「国内株10％、先進国の株50％、新興国の株40％」です。投資金額が月1万円なら、国内株1000円、先進国の株5000円、新興国の株4000円、といったイメージですね。
ただし、こちらはあくまでも私の個人的なおすすめの割合です。「新興国に投資するのはちょっと不安」という方なら、20～30％に下げて、国内株や先進国の株を増やしてもいいでしょう。また、国内株を増やしたい方、または減らしたい方もいらっしゃると思いますし、ご自身の好みや考え方にあわせていただいていいと思います。
西山：国内株、先進国の株、新興国の株、それぞれ投資信託を買おうと思ったら、具体的にはどんなものをおすすめされていますか？
朝倉：償還までの期間（投資信託の運用期間）や、純資産規模（どれくらいの規模のお金を投資家から集めて運用しているかを示す数字）、コストなどをリサーチした結果、現時点では以下の通りです。
＜国内株＞
・「eMAXIS Slim国内株式（日経平均）」
・「iFree日経225インデックス」
・「ニッセイ日経平均インデックスファンド」
＜先進国の株＞
・「eMAXIS Slim先進国株式インデックス」
・「たわらノーロード先進国株式」
・「ニッセイ外国株式インデックスファンド」
＜新興国の株＞
・「SBI・新興国株式インデックス・ファンド『愛称・雪だるま』」
金融機関によって扱っているものが異なりますので、上記の中からその金融機関のラインナップにあるもので構いません。
西山：私も「eMAXIS Slim先進国株式インデックス」や「SBI・新興国株式インデックス・ファンド『愛称・雪だるま』」を積み立てで買っています。
片岡：ぜひチェックしてみます！ちなみに新興国とは、どんな国が入るのですか？
朝倉：中国や台湾、韓国、インド、ブラジル、南アフリカ、ロシアなどです。
片岡：中国も新興国なんですか？！
朝倉：はい、ちょっと驚きますよね。そう考えると「新興国の株」も買っておこうと考える方は多いですね。
ネット証券の「ランキング」を参考にしてもいい？
片岡：ネット証券のサイトを見ていると、「投資信託の販売ランキング」がありますが、上位のものは、やはりよいものでしょうか。ついランキング1位のものを買いたくなってしまって。
朝倉：いろいろなランキングがありますが、「積み立てランキング」は比較的参考にしていいと思います。ただし、人気のある商品でもコストが高いものもあるので、念のため確認しておきたいですね。
コストが安い投資信託といえば、先ほども紹介した「eMAXIS Slimシリーズ（三菱UFJ国際投信）」や、「ニッセイインデックスシリーズ（ニッセイ・アセットマネジメント）」などがあります。よくランキング上位にくる「SBI・バンガード・S&P500インデックス・ファンド（SBIアセットマネジメント）」も、信託報酬が0.1％を切っていてコストは安いです。
西山：モーニングスターさんのアプリは「コストが安い順」などと、気になる投資信託を並べ替えられる機能が便利ですね。気になる投資信託があったら比べてみてもよさそう。自分が持っている投資信託も登録できますし、これが無料だなんて！
朝倉：ありがとうございます。ぜひ活用していただきたいですね。YouTubeでアプリの使いかたも説明していますので、みなさんよろしかったらぜひ（笑）。
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