人生後半にやり残したくなかった「人を好きになること」


私、米澤よう子は、イラストレーター、作家として27年活動をしてきました。そして、いきなりプライベートな話で恐縮です。30代で一度結婚をしました。今思うと、それは「結婚らしきこと」で、内容が伴っていませんでした。
約2年で結婚生活にピリオドを打ち、以降は気ままなシングルライフ。不自由もなく、自分にフィットする暮らしでした。

転機は50歳に達した時。幼少期から結婚願望が強く、当たり前に結婚して子供を産むとばかり思っていました。その人生設計から外れ、ぐーんと年をとった自分がいたのでした。

そもそも最近、誰かにときめいているだろうか?好きな異性はおろか、好きなアイドルもいない!愛情を注いだ愛猫は逝ってしまった……。

ドキドキハラハラ、ときめくことがない!
ただ淡々と、可も不可もなくこのまま時が過ぎてしまうの??
人生後半には、そんな日常もアリかも?と思うと同時に、改めて自分にとって今後、やり残していること、足りないのは何か?と考えてみました。
そして辿り着いた答えが「人を好きになること」でした。

50歳を過ぎ、シングルライフはそろそろ卒業したいとの思いに至りました。

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そもそも「ときめき」って?


50代の恋活を始めるにあたり、ふと頭によぎりました。「好きな人ができて、心がときめく感覚ってどうだったっけ?」若かりし頃にあった恋愛の情熱を、まるで探し物をするように探ったのですが、思い出せない!

 

とはいえ、私もひととおり経験した大人。生活観の一致があれば、一緒に生活できそうな気も。

逆に大人だからこそ、自分の曲げられない部分をある程度分かっています。私はときめかないと無理なのかも。人に限らず、仕事や家事もそう。やっていて楽しい感覚がないと三日坊主。ましてや日常を共にする人にときめかないと……結果は見えています。

みなさまはどうでしょう?ときめきとは何?との疑問から、ときめきの測り方を描きました。頭ではなく、五感でどう捉えているか?ぜひチェックしてみてください。

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自然な出会いを待つのは卒業!


夢見る夢子と言われる魚座の私。幼い頃にどっぷり浸かった少女漫画のように、”ある日突然、強く好きになる彼(王子様)が出現!” といったシーンは(長く生きてきただけに)稀だとわかっています。現実を見据え、さっそくアクションを起こそう!と決意しました。……と、簡単に書きますが、それはそれは勇気のいる第一歩でした。

まずは、すぐに参加できそうなお見合い型パーティへ。PCに向かい、震える手で参加ボタンをクリック。会場に着くまで、着いてから、実際のお見合いも震えが止まらない!あえなくカップル不成立にて終了。

もうコリゴリ?いえいえ、参加の意味があったんです!偶然居合わせた恋活友達との出会い。そして、知らない男性を知って視野が広がったことや、男性側の意見を聞けたこと。これらがその後も恋活できた要因のひとつです。

カップル成立の結果がなくても、このプロセスは、まだ見ぬ未来へつながる予感がしました。

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パリで学んだ真の「エレガント」が支え


恋活のその後は、どこまで記して良いのやら……!
詳しくは「大人の恋愛ライフ〜ときめき再デビュー〜」に書きました。このエッセイでは、活動するにあたり、いちばんお伝えしたいことを記します。

恋活の精神的な支えとなったのは、フランスで学んだ本当の意味でのエレガント。

ベースは、4年のパリの暮らしで身についた「考え方」です。もちろんはじめは戸惑いました。究極を言えば、「自分は自分、人は人」。違いを認める「やさしい個人主義」です。

この考え方は、どこにいても、どんなときも、自分が自分でいられるヒントと言えます。ハッピーなことがあれば素直にがんばった褒美と喜べるし、悩んでも少しタフになって立ち直れます。

恋活とうたいながら申し訳ないのですが、お相手の心を射止めるだけがすべてではありません。成婚が「勝ち組」ではありません。シングルのままでも、自分が自分でいられる生き方を知る人こそ真の勝ち組です。

また、孤高ともニュアンスが違います。周囲との調和で成り立つのが、フランスで言うエレガントなのです。

恋を経験したら、「ひとりでもふたりでも、あなたはあなたのままで良い」と、真のエレガントを知るマダムから言われるに違いありません。

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相手を慮って、ノンをウイにすると、うまくいかない!


恋活成就に役立つ、パリのマダムからの教えがあります。「NO」をきちんと伝えることです。

パリのコミュニティでは、物事を円滑にするつもりの「ウイ(YES)」が、「こんなはずでは……」という悲しいオチになることが多々ありました。いえ、99パーセントかも!日本でいう、同調の癖を多発し、痛い目にあいました。

「実は」と切り出せば、「そのときノンと言ってくれたらよかったのに!」と、返事はごくシンプル。こちらもシンプルに、ノン、あるいはわからないと告げれば、その後にわだかまりを残さないんですよね。結果、信頼できる間柄にーー。

たとえお付き合いが続いても、彼に合わせて自分を抑えるのは、らしくない。
もし、彼から下に見られたり、憐れまれていると感じたら、誇り高く断ります。
シングルに戻っても、それはそれ。結果を(自分はもとより)、誰のせいにもしません。パリ流の自己責任ではそうなるんです。

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恋は循環する!


たとえば試供品。ありがたく思えますよね?でも、フランス人は、タダという理由だけでは欲しがらない!「今は必要ない」ときっぱり断る(ちなみに試食はマスト)。テイクフリーの品があっても、残してその場を去っている人を目にして、
「もったいなくない?」なんて思っていた私ですが……。

しばらく経って、それがエコに思えてきました。巡り巡って、本当に必要な人の手に渡る。そんな「循環」が、イメージできるようになりました。

恋に当てはめると、好きになった人が、自分じゃない人と結ばれたとします。でも、相手の幸せを(複雑な心境であれ)祝福すれば、巡り巡って、自分にも幸せが訪れる!そう信じられるんですね。

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恋愛のある暮らし方


私が恋活を通じて得たのは、好きな人だけではありません。ときめく恋愛の喜び、ときには悩んだり。以前とは違う「恋愛のある暮らし」です。

相手がいない場合は、恋への準備を楽しむ。彼ができたら、ふたりの時を充実させる。別れたら、今、ひとりでできることで今日を過ごす。ふたりの意思が固まったら?......etc.

コロナ禍となり、恋活にも変化が訪れました。それでも、今すぐできることはたくさんあるはず。

難しいことはありません。だって、半径数メートル内には暮らしの「ときめきのモト」がたくさん潜んでいるのだから。それらは恋へのきっかけにつながるんです。

好きなモノを選び、好きなことができる大人の暮らし。でも、好きな人がいないのは、ちょっと味気ない。

だったら好きな人をイメージして、自分を見てみると……もう少しおしゃれしたい。今いるお部屋を眺めると……まだ見ぬ彼が来た時のために、きれいにしておきたい。顔を鏡にうつしたら……スキンケアだって続けなきゃ!そんな心境になってくるはずです。

さあ、恋する女性のスタンバイOK!いつでもスタートできます。

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恋活には関係なくても同じ女性


恋活以外の読者の方々からも、多くのご感想をいただきました。
暮らしのハウツーにもなり、だんなさまとのコミュニケーションのヒントになったとのご報告もありました。

そうです、立場違えど同じ女性。大人の日常を、少しでも活発にするためのプチ起爆剤となれば、嬉しく思います。

ステイホームが続く中、なんだか退屈で、5分が1時間にも感じる時間は辛い!今日も小さなときめきがあって、気づけば眠る時間となり1日を無事終えられるーー。当たり前のようで、宝物。そんな「大人の恋愛ライフ」をみなさまと分かち合えたら私も幸せです。

そして、合言葉は「セ・ラ・ヴィ!」その内容はぜひ本でごらんくださいね!

ここまでおつきあいいただき、ありがとうございました。

米澤よう子

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『大人の恋愛ライフ ときめき再デビュー』

米澤 よう子 著 講談社 1350円(税別)

パリに長く暮らしたイラストレーターの米澤よう子さんの体験を軸に、パリ流の恋愛ノウハウを挟んで展開する、大人のリアル恋活ハウツー本。
お見合いパーティに参加したり、恋活ファッションを研究したり、パートナーに出会うまでの努力と工夫のディティールを華麗なイラストで、丁寧に紹介しています。
大人の恋活は、ターゲットを間違うとマッチングも難しい……。
相手との年齢差、スペックかフィーリングか、優先順位はどうすべき?
など、再デビューあるあるが満載! 現代日本の「ときめきバイブル」の誕生です。


絵・文/米澤よう子