長引くコロナ禍によって、自宅で家族と過ごす時間が増えたという人は多いはず。逆にそれによって増えたのが「いうことを聞いてくれない」「ケンカが増えた」などといった、子どもとの接し方にまつわる悩み。大人同士でさえ難しいコミュニケーション、相手が子どもとなればなおさらかもしれませんね。
6月の新刊『英語で学ぶ カーネギー「人の動かし方」』の著者・木村和美さんは、そんな子育てに悩む親たちにこそ、カーネギーが唱えた「黄金の法則」に注目してほしいといいます。
子どものやる気や自己肯定感を伸ばす、アメリカで経験した「とにかくほめる」コミュニケーション法とは? 木村さんがアメリカ滞在中、実際に体験したエピソードとともに教えていただきました。
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「駐妻の私を言葉の壁から救った、アメリカ人の「他人をほめる力」」>>
アメリカでのコミュニケーションで特徴的な「惜しみなくほめる」ということは、特に子どもに対しては徹底しているように思いました。日本では特にほめないようなことでも、アメリカでは立派なほめる材料になるのです。息子が通っていたアメリカの公立の小学校で、担任の先生のヘルプとしてボランティアをすることがあり、その授業風景や子どもへの接し方は日本とはかなり異なるものでした。
2年生のクラスのある子はいつも算数の宿題をせず、どうも勉強は嫌いなようでした。でも珍しく宿題をしてきたとき、先生がその子のことをものすごくほめたのです。日本的な感覚ですと、「宿題をするのは当たり前」「宿題をしてこない子は悪い」、だから「宿題をしてきたからといって特にほめない」ということになります。
でもその先生は、そういう一般的な基準ではなく、その子にしてみれば「めったにない素晴らしいことをした、これはすごい!」ということで、とてもほめたのです。
そしてそれが、その子を変えました。ほめられたことが、とてもうれしかったのでしょう。この件がきっかけとなってやる気が出たのか、その後、ちゃんと宿題をしてくるようになったのです。
具体例はほかにもあります。私の息子は希望すれば誰でも参加できる地域のリトルリーグに入っていました。野球の得意な子だけが集まったチームではなく、コーチをチームのお父さんが務める、ボランティアで運営されていたチームです。そこで印象的だったのは、コーチが子どもたちに頻繁にかけていた “good try”です。
三振した子、フォアボールを出したピッチャーの子、ゴロやフライを取り損ねた外野の子などに対し、必ずかけていた言葉です。それ以来、この“good try”は私の大好きな言葉になりました。
たとえ失敗しても、思うような結果が出なくても、「tryしたこと、頑張ったことをほめる」「結果ではなくて、その過程をほめる」素晴らしい表現です。このとき、失敗してもほめられると気がつかされました。ほめる材料はいたるところにあるとも。
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