「エアコンの室外機に水をかけると節電」説のウソ・ホント_img0
 

今年の夏は例年にも増して暑く、エアコンを手放せない状態が続いています。電気代が心配ということで、ネット上では、エアコンの室外機に水をかければ効率が良くなるという話が拡散していましたが、この話は本当なのでしょうか。

 

結論から言うと、水をかければ気化熱によって大幅に温度が下がりますから、理屈上、効率は上がるはずです。ただし、これはメーカー各社が想定している使い方ではなく、トラブルや事故の原因となりますから、現実にはやめた方がよいでしょう。

一方で、学校でも習ったと思いますが、水(液体)が蒸発すると周囲から熱を奪う(気化熱)というのは科学的な事実です。純粋な理科の話としては、あながち間違った方法とはいえません。

「水をかけてはどうだろうか」と発言した人に対して、「そんなことで効率が上がるならメーカーはとっくにやっているはず」「勝手なことを考えるべきはない」と激しくバッシングしている人もいるようですが、筆者は言い過ぎではないかと思います(繰り返しますが、筆者は水をかけることを推奨しているわけではありません)。

メーカーはビジネスとして製品を開発していますから、効率が上がると分かっていても、実際の製品には応用しないことなどたくさんあります。室外機に水をかけるというのはまさにその典型で、理科の常識として冷房効率が上がるのは間違いありません。実際、業務用エアコンの中には、室外機に水をかけて冷房効率を上げるタイプのものが存在しています。

ただ、室外機に水をかけすぎると電気回路の部分に影響する可能性がありますし、何より機器が錆びやすくなるので、相当な対策が必要となり、その分だけコストもかさみます。家庭用のエアコンではそこまでのコストをかけることはできませんから、効率が良いことが分かっていても、メーカーはその方式を採用するとは限りません。

しかしながら、こうすれば効率が上がるのではないかと考えること自体は、決して悪いことではないと思います。それはエアコンの仕組みを理解することであり、仕組みが理解できれば、エアコンをもっと効率的に使うヒントが得られるからです。

 
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