エアコンはヒートポンプと呼ばれる仕組みで動作しています。エアコンの室外機と室内機の間には冷媒と呼ばれる物質が循環しています。冷媒が室内機を通っている時には、冷媒が蒸発して室内の熱を奪い、今度は室外機を通る時には周囲に熱を放出して冷媒が凝縮(液化)します。この作用を連続して行うことで、エアコンは室内の熱を室外に放出しています(逆カルノーサイクル)。

家庭内にある冷蔵庫も基本的に同じ原理です。冷蔵庫の場合、エアコンでいうところの室外機は、冷蔵庫と一体になっており、庫内を冷やした熱は室内に排出されます。したがって、冷蔵庫内部の温度が下がった分は、室内の温度が上がっているわけです。

時々、エアコンは換気もしてくれると勘違いしている人がいますが、一般的な家庭用エアコンは冷媒が室内と室外を循環しているだけで空気は循環しません。つまり、換気はしてくれませんので、窓を閉めっぱなしにしていると空気が悪くなってしまいます。換気システムを備えた家に住んでいる人以外は、一定時間ごとに窓を開けて空気を入れ換えた方がよいでしょう。

上記のように、エアコンは冷媒が室内と室外を循環し、熱が移動することで室内を冷やしています。エアコンが熱の移動によって室内を冷やしているという原理が分かれば、工夫すべき点も見えてきます。

時々、室外機の周囲にたくさんモノを置いている家を見かけますが、これは室外機から放出された熱がうまく周囲に放出されず、こもってしまう可能性がありますから、やめた方がよいでしょう。室外機を置く場所は、日陰など、暑くなりすぎない場所の方が、効率良く熱を放出できるはずです。

「エアコンの室外機に水をかけると節電」説のウソ・ホント_img0
 

室内機のフィルターも同じです。フィルターを掃除していないと室内の空気がエアコンの内部をスムーズに通過できず、熱の移動が妨げられます。フィルターは定期的に掃除した方が確実に効率は上がるでしょう。

 

室外機は雨に濡れる程度であれば問題ないので、室外機には直接水をかけず、近くで打ち水をすれば多少、効率を上げられるかもしれません。

何事もそうですが、物事の原理が分かれば、賢い使い方ができるようになります。工夫を凝らして不快な季節を乗り切りたいものです。

前回記事「うがい薬で話題の「インサイダー取引」が実はそんなに儲からない理由」はこちら>>

 
  • 1
  • 2