15年前から見据えていた二拠点生活

 

間もなく出産から1年になりますが、それまでの、日本とロサンゼルスを行き来して仕事をする生活から、今は育児優先の生活にすっかり様変わりしたと言います。「もともと若い頃から、日本以外のところに拠点を持って活動していきたいという思いを持っていた」と言う弥生さん。
今でこそコロナ禍によるリモートワークの促進もあってデュアルライフ(二拠点生活)を始める人も増えましたが、まだそのような価値観が浸透していなかった頃から、日本以外の拠点を設けようと思った理由は何だったのでしょう?

 

「コロナウイルスの問題が起こってからは、多くの人が遠隔から仕事をするようになりましたけど、それ以前から、パソコンやスマホがあればオフィスに通ったりしなくても仕事ができる時代にはなってきていましたよね。

だから15年ぐらい前からかな、徐々にそういうライフスタイルにスイッチしていったほうがいいんじゃないかと、漠然と思っていたんです。それに伴って、一生日本だけで暮らしていくというのではなく、他にも自分の興味のある国……、たとえばデンマークなどに1年の半分ぐらい住んでみたいな、と思うようになって。
それで、海外にいるときもオペレーションができるようにしよう、ということをすごく意識しながら仕事をしてきたんです」

コロナ前からリモートワークやデュアルライフが浸透してきていたとはいえ、それはあくまでここ数年の話。15年前から意識していたというのは、少々早すぎる気もしますが……。

 

「ええ、早すぎちゃって周りの人にも『この人ワケ分かんないこと言ってる』というふうに思われているのが分かりました(笑)。
でもその後、今の旦那さんと出会ってからロサンゼルスに行くことが増えて、『これからは二拠点時代がくるんじゃないか』という予感がますます強くなったんです。というのもロサンゼルスはロサンゼルスを舞台にした映画『ラ・ラ・ランド』の冒頭のシーンのように渋滞の多い街で、それゆえリモートワークをおこなう人が多かったんですね。移動に1〜2時間かかるというのはザラ。

なので、週に半分くらいオフィスに行き、あとは家からとかカフェから仕事する、というスタイルがもともとあったんです。
だから私は、コロナでリモートワークに切り替わった時も動揺せず、仕事的にはむしろやりやすいなと感じたほどでした」