頭痛と血圧の関係

 

あるいは、頭痛がひどい時に血圧を測って、血圧が高いことを確認し、「血圧が高いから頭痛がひどい」とおっしゃる方もいますが、多くの場合は逆です。痛みがある時にも血圧は高くなります。頭痛の原因は別にあることがほとんどです。

一方、「高血圧かどうか」を評価する時の「血圧」というのは、安静時の血圧です。「ジョギングをしてきてすぐに血圧を測ったらとても高かったのだがどうすれば良いか」と相談を受けることもありますが、その場合には、自宅で安静にして再度測定し直してみてください。

適切なタイミングは、朝起きてしばらくの間や夜寝る前など、活動度が下がっているタイミングです。椅子などに腰掛け、1〜2分体の力を抜いてリラックスしてから測定をします。その上で、タイミングを変えて何度か測定し、140/90mmHgを平均的に超えてくるようであれば、高血圧である可能性が極めて高いと言えます。
 

 

高血圧の原因は?漢方薬や痛み止めが高血圧を引き起こすことも


高血圧は多くの場合、「本態性高血圧」と呼ばれ、原因が明らかではありません。日々の生活習慣の積み重ねや遺伝的な背景を受けて発症します。「あれを食べていたからいけなかった」と特定の生活習慣を原因と考えて納得される方がいらっしゃいますが、それは多くの場合、誤解です。

一方、特定の原因が見つかる場合もあり、これを「二次性高血圧」と呼んでいます。ただし、高血圧患者さん全体の1割程度と言われており、頻度は比較的低くなります。

身近な例として、生理痛や頭痛に使われるNSAIDsと呼ばれる痛み止めが原因となることがあります。これを常用されている方は注意が必要で、この薬で高血圧を発症する可能性があります。もう一つ日本人にとって身近な例は、漢方薬です。多くの漢方薬には「甘草」と呼ばれる成分が含まれますが、この「甘草」の入った漢方薬で高血圧を発症することがあります。

私自身、自分の患者さんのお薬手帳に漢方薬を見つけ、漢方薬をやめていただいただけで血圧が回復したケースを何回か経験しています。

このように、まずは自分の足もとを見直してみることも大切です。薬の調整には、医師のアドバイスが必要なことも多くありますので、そのような心配があれば、ぜひかかりつけの医師にご相談ください。
 

睡眠時無呼吸症候群と血圧


それ以外に比較的多い原因として、「睡眠時無呼吸症候群」と呼ばれる病気も挙げられます。これは、読んで字のごとくですが、睡眠中に呼吸が止まってしまい、睡眠の質が落ちることで日中の眠気に繋がってしまったり、無呼吸の影響で心臓に負担がかかったりする病気です。

夜中にいびきをかくことが多い、苦しくて夜中に目を覚ますことがある、家族から呼吸が止まっているのを指摘された、日中の眠気が強い、などが該当する場合には、この病気の可能性があります。

その他にもいくつもの高血圧の原因が挙げられます。いずれの場合においても、病院で診察を受けていただくことが大切です。高血圧の検査や治療は一般的な内科クリニックならどこでも概ね可能です。お近くの内科をお尋ねください。


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