モデルのきっかけを作ってくれたアニエスベーとナイスクラップ


モデルになりたい――。その夢は現実に。ファッションや雑誌が大好きな16歳の少女は、モデルとしての道を歩み始めます。

 

はまじ「モデルになりたいと思い始めたのは、高校生の頃でした。non-noでさっちゃん(加藤幸子さん)が履いていた黒のスカートがすごく可愛くて、欲しいと思ってクレジットを見たら2万4500円! 高校生の私には手が出ない金額でした。そのとき、モデルになって大好きな洋服をたくさん着たいと思ったんです」

 

その後、セブンティーンのモデルオーディションに応募したものの、落選。しかし、高校3年生の夏休み、その後の進路を決めなくてはならないタイミングで、運命が動き始めます。
身長はすでに現在と同じ170センチ近くあったそう。

札幌で行われた人気ティーン誌『mc Sister』のファッションショーを見に行った時、編集長に声をかけていただいたのだ。 完全に諦めた世界への架け橋が、まさに今掛かろうとしている。これが最後のチャンスかもしれない。

―― 「蝶の粉」より一部抜粋

はまじ「その日は、ナイスクラップのマキシ丈の黒のスリップドレスを着て、アニエスべーの白シャツを羽織り、腰でキュッと結んでいました。肩にはドゥファミリィのハンドル部分がレザーになったキャンバスバッグ、足元はフィンの焦げ茶色のメッシュのサンダルを履いて、髪はお団子ヘアでした」

随筆集の最後の章「花柄のワンピース」ではその後、家族や編集部とのさまざまな出来事を経てモデルの道を歩む経緯が書かれています。それにしても、当時着ていた洋服をこんなにも細かく覚えているとは。その記憶力に驚きを隠せません。

はまじ「よく驚かれるのですが、いつ、何を着ていたかはほとんど覚えています。しかも自分だけではなく、一緒にいた人の洋服も映像として残っているんです。とくに大好きな人の服装は明確で、例えばともさかりえちゃんなら、いつ何を着ていたかほとんど言えると思います(笑)。『りえちゃんに初めて会った日は小花柄のミニスカートにエンジニアブーツ履いていたな』とか。本人には『気持ちが悪いよ~』って言われているけれど(笑)」


さまざまなファッション遍歴を経て、再び好きなものは原点へ


プライベートでは、心地よいシルエット&素材のファッションが多いというはまじ。好きな洋服のテイストは一貫していたのでしょうか。

はまじ「一時期、尖ったファッションが好きだった時代もあるんです。ファーやスタッズがかっこいい!と思って、手を出してみたものの、それらは真っ赤な口紅の女性が最高に似合う洋服で、普段ノーメイクの私には似合いませんでした。でも、着ないからといって好きじゃないわけではなく、今でも素敵だなと思っています。ただ、私のライフスタイルや気持ちにフィットするのは、黒のタートルネックや白シャツなど、シンプルで着心地のよいファッション。高校生のときに黒のタートルネックに恋したときから、結局のところ好きなものは変わっていませんね(笑)」

<新刊紹介>
『蝶の粉』

浜島直子
ミルブックス 2020年10月2日発売予定
定価 1300円(税別) 装画 ますこえり

「どうしてだろう、私は正しかったはずなのに」 これらは何ら特別ではない、誰にもで起こりうるささやかなこと。浜島直子、待望の初随筆集。瑞々しい筆致で綴った、 書き下ろし18篇を掲載。


問い合わせ先/
ジャーナル スタンダード ラックス 表参道店 tel. 03-6418-0900
プティローブノアー tel. 03-6662-5436


撮影/目黒智子
スタイリング/亀甲有希
ヘア&メイク/福沢京子
取材・文/笹本絵里
構成/幸山梨奈

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