医師が語る「むくみ」を甘く見てはいけないワケ。受診すべき危険な場合は? _img0
 

最近、足がむくみやすい。何か病気じゃないか。そんな心配を抱えていらっしゃる方もいるかもしれません。そもそもなぜ足のむくみが起こるのでしょうか。また、どうやってそれを防げばよいでしょうか。この記事では、その種明かしをしていきたいと思います。
 

 

むくみの生じるメカニズムとは?


そもそも「むくみ」とは、どのようなメカニズムで生じるのでしょうか。これを理解するためには、まずは体の中にある「水」について理解をしておく必要があります。私たちの体の中に、水はどれくらいあると思いますか?

実は、人の体の約6割は水でできています(参考1)。すなわち、体重が50kgの方であれば、約30リットルもの水が体の中にあるということになります。500mlのペットボトルで60本分です。もしかすると、想像を遥かに超えていたかもしれません。体のどこを見てもそんな水があるようには思えないかもしれませんが、実は体の中で、一個一個の細胞が水を溜め込んでいるのです。

水は、細胞の中、血管の中、それらの外にそれぞれ20リットル、2.5リットル、7.5リットル程度の割合で分布していて、常にこのバランスが維持されています。このバランスが崩れて血管及び細胞の外に水が増えてしまった場合に「むくみ」となって現れます。

バランスが崩れて水が外側に漏れ出る仕組みの一つは、水自体が持つ圧力の変化です。
 

動脈は上水道、静脈は下水道


血管は全身に水を行き渡らせる水道管の役割をしています。仮に心臓と肺を浄水場だと考えていただくと、動脈はその水を各家庭(実際には各臓器、各細胞)に送り届ける上水道で、静脈は各家庭で使われた水を回収してくる下水道です。

しかし、血管が水道管と異なるのは、血管の壁には無数の小さな窓があることです。血管は、水が簡単に漏れ出る構造をしています。

ここで仮に、下水道のどこかで目詰まりが起こってしまったとします。すると、たちまち水道管の中の圧が高まります。圧が高まると、水道管には無数の窓が空いているので、周囲に水漏れを起こします。こうして、むくみが生じることになります。
 

食塩に含まれるナトリウムが悪さをする!?


これだけなら単純な話なのですが、人の体はそこまで単純ではありません。実は、この水の移動は圧力の変化だけで生じているわけではありません。ここでご紹介しなければならないキープレイヤーは、食塩に含まれるナトリウム、そして血管の中を流れるタンパク質です。

ナトリウムやタンパク質には、水を引き込む力があります。例えば、ある場所にナトリウムやタンパク質が多く存在すると、水はその場所に引き込まれていきます。あるいは、逆にそれらが減ってしまった場所では、水を引き込む力が失われ、水はその場から逃げていってしまいます。こんな風に、水はナトリウムやタンパク質の動きとも連動して動きます。

医師が語る「むくみ」を甘く見てはいけないワケ。受診すべき危険な場合は? _img1
 

これを足のむくみに当てはめると、足の血管の外に過剰な塩分が漏れ出している場合には、そこに水が引き込まれ、水が溜まることになります。あるいは、血管の中にあるタンパク質の量が減ってしまうと、血管の中に水を引き込む力が弱まり、水が漏れ出していきます。このような形でも足にむくみが出ることになります。
 

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