人には言えない「おしっこ」の悩み。恥ずかしいし、できれば誰にもバレずに治したいですよね。ミモレにも「どうしたらいいのか分からないんです」とおしっこにまつわる相談が数多く寄せられます。皆さんの中にも、不安を抱えている人は多いのではないでしょうか。
今回は「おしっこのことが笑って話せちゃう」「同じ女性・ママ同士だからこそ分かってもらえる」と評判の、自由が丘ウロケアクリニック・佐藤亜耶先生に、意外と知られていない膀胱炎の原因や症状について教えていただきました。
1.膀胱炎ってどんな病気?
膀胱炎はズバリ、「おしっこの感染症」です。おしっこは排泄されるまでは無菌なので、じつは飲めちゃうくらいキレイなんですよ。膀胱は一番内側が粘膜で出来ているんですが、尿道から細菌が入りこんで粘膜が炎症を起こすと、出血したり、刺激に弱くなったりして痛みが出るんですね。
症状の特徴としては、おしっこの終わり頃に「キュウウッ」という違和感や痛みが出ます。排尿の最後に膀胱がキュッと縮むので、その時に「痛ててて……」となる感じです。逆に出始めが痛いという人は、膀胱炎ではなく尿道が傷ついていたり、かぶれがあったりするかもしれません。
2.女性が膀胱炎になりやすいのは、なぜ?
一つは、女性は尿道・膣・肛門が全て近い場所にあり、汚れや細菌が入りやすいから。
女性の尿道はすごく場所が分かりにくいんです。皆さん、どこが尿道かご存知ですか? 患者さんの中にはクリトリスが尿道だと思っている人もいるんです。そういう時は「そこは違いますよ~!」って一緒に大笑いしています(笑)。
尿道は膣のすぐ上にあり、しかも尿道が3cmくらいとすごく短いので、膀胱まで細菌がすぐ入っていけちゃうんですね。膀胱の痛みを「尿道口が痛い」と勘違いしがちなのも、それくらい身体の外と近い場所にあるからなんです。
逆に男性にはおちんちんがあって尿道も10㎝ほどありますから、膀胱まで菌が入りにくい。そのおかげで、男性は膀胱炎にほとんどならないんですよ。
3.膀胱炎にはどんな種類がある? どんな症状が出る?
膀胱炎には複雑性膀胱炎、間質性膀胱炎などがありますが、一般に膀胱炎と呼ばれるのは急性膀胱炎(単純性膀胱炎とも)です。女性はほとんどが、このケースですね。
膀胱炎の三大症状は
・排尿痛
・頻尿
・残尿感 になります。
一番多いのは、排尿時の痛みに耐えられなくて病院に来るパターン。あとは、何の予兆もなくトイレに行きたくなる「切迫感」。これも症状の一つですね。突然の尿意に我慢出来ず、漏れてしまう人もいます。ほかにも排尿回数が急に増えたり、なんとなくムズムズするだけの人、逆に血尿がバーッっと出て驚いちゃう人もいたりと、本当にさまざまなんです。
「膀胱炎=痛い」だけじゃない
50~60代になると、こういった症状を“年のせい”と思ってしまいがち。先日も頻尿の症状で来院された50代の方がいました。「年だから仕方ないですよね~」っておっしゃっていたんですが、調べたら膀胱炎だったんですよ。ご本人は痛みがないから「膀胱炎?!」とびっくり。膀胱炎の治療をしたら頻尿も治って、スッキリされていました。
それくらい、人によって症状が違います。「おかしいな?」と思う時は相談だけでも大丈夫ですので、気軽に病院に行ってみてくださいね!
取材・文/梅田千恵(スタジオ・コル)
イラスト/徳丸ゆう
構成/山崎恵
【全四回】膀胱炎についての特集ページはこちら
第一回「その頻尿の原因も⁉女性に多い膀胱炎の原因と症状を医師が解説」
第二回「見せなきゃダメ?膀胱炎の診察と治療法を医師が解説」
第三回「コロナで膀胱炎が増えている! 市販薬はアリ?ナシ?」
第四回「セックスが原因?膀胱炎がクセになる本当の原因とは」
佐藤亜耶 Aya Sato
自由が丘ウロケアクリニック院長。女性泌尿器科、小児医療センター等の病院に勤務後、女性と子どものための泌尿器クリニックを開院。医学博士、日本泌尿器科学会認定専門医。二児の母でもある。