よく聞く“痛み”だけではなく、実際にはさまざまな症状が出る膀胱炎。気になる時は病院に行ったほうがいいと分かっていても、どんな診察をされるのか分からず、なかなか足が向かないという人もいるのではないでしょうか。特に「患部を見せないといけないのかしら……」という不安が大きなネックになってしまっているようです。今回はそんな疑問も含めた、膀胱炎の治療についてお聞きしました。
1.膀胱炎のセルフチェック方法は?
排尿時に痛みがあれば分かりますが、痛みがない時の自己判断は難しいと思います。おしっこの回数が急に増えたり、急にトイレに行きたくなるといった症状もあれば、何かムズムズする、というようなハッキリしない感覚だけの場合もあります。
正直なところ、私たち医師も実際に診察してみないと分からないんです。うちに来る患者さんでも、「おしっこの出口が痛い気がする」とか「おなか全体がかゆい」とか、何かよく分からないけど変な感じがするので来てみたら、尿検査で膀胱炎だと分かった、なんてことはよくあります。痛みがないから大丈夫と思っていると、気づかないうちに悪化させる可能性もありますから、放っておかずに病院へ行きましょう。
2.膀胱炎では何科を受けるべき?
きちんと治すなら泌尿器科です。ただ女性は陰部に不快感を覚えても、膣と尿道が近いせいもあって、具体的にどこの症状なのかが自分でも分かりにくい。それで婦人科なのか泌尿器科なのかの判断がつかず、とりあえず行き慣れている内科や婦人科に行く人が多いようです。また泌尿器科は男性医師がほとんどなので、できれば避けたいという気持ちもあるでしょうね。
婦人科は泌尿器科と同じく陰部を診るところですから、「膀胱炎っぽいんです」と言えば簡単な尿検査はしてもらえますし、抗生剤も出してもらえます。そうやってずっと婦人科でお薬をもらっていた、という人はすごく多いですよ。
泌尿器科では薬を飲み切った後にも尿検査をして、きちんと治っているか確認します。一方、自己判断で症状が良くなったからといって、薬を飲むのをやめたり、通院するのをやめてしまう方も多くいらっしゃいます。それで中途半端な治し方になってしまい、膀胱炎を繰り返してしまうんですね。
3.どんな診察される? 治療法と期間は?
「泌尿器科はやっぱり、患部を見せないといけないのかな……」と心配になりますよね。大丈夫ですよ(笑)。膀胱炎は服薬だけでほとんど治療できるので、問診と尿検査だけ。基本的に視診はしません。もちろん問診で「陰部がヒリヒリする」とか「陰部が気になる」など、キズやかぶれがあるのでは? と思う時は見させていただいています。
ところが最近は、むしろ「見て下さい!」と自分から求めてくる人が増えてるんですよ。うちは女医を探して来院される方が多いからなのか、女同士の安心感からなのか……。私もびっくりしているんです。「じゃあ、見ましょうか?」と言うと「は~い!」って(笑)。とくに若い子ばかりというわけでもなく、わりとご高齢の方もおっしゃいますね。
お薬を飲み終わった後、おしっこがきれいになったことが確認できたら治療終了です。経過が長い人は2~3週間かかる時もありますが、だいたい1週間くらいで治りますよ。
取材・文/梅田千恵(スタジオ・コル)
イラスト/徳丸ゆう
構成/山崎恵
前回記事「その頻尿の原因も⁉女性に多い膀胱炎の原因と症状を医師が解説」はこちら>>
【全四回】膀胱炎についての特集ページはこちら
第一回「その頻尿の原因も⁉女性に多い膀胱炎の原因と症状を医師が解説」
第二回「見せなきゃダメ?膀胱炎の診察と治療法を医師が解説」
第三回「コロナで膀胱炎が増えている! 市販薬はアリ?ナシ?」
第四回「セックスが原因?膀胱炎がクセになる本当の原因とは」
佐藤亜耶 Aya Sato
自由が丘ウロケアクリニック院長。女性泌尿器科、小児医療センター等の病院に勤務後、女性と子どものための泌尿器クリニックを開院。医学博士、日本泌尿器科学会認定専門医。二児の母でもある。