衛生的でないセックスが、膀胱炎を繰り返してしまう大きな原因になること、ご存知ですか? とくに若い女性の場合は、予想外のトラブルからセックス恐怖症になってしまうこともあるのだとか。
「何でも話せる」と評判の自由が丘ウロケアクリニック・佐藤先生に、人には言えない膀胱炎の原因と、あまり知られていないケアの大切さについて、ズバリ答えていただきました!


1.セックスが原因で膀胱炎に?!

 

「セックスのたびに膀胱炎になっちゃう」という人が、実は少なくないんです。

皆さん、セックスに汚いというイメージはあまりないと思いますが、私たち医師から見れば、非常に不潔になりやすい行為です。通常の陰部は、排泄をすることはあっても何かが入ってくることはない状態。そこへ異物がむりやり入ってくるんですから、当然、汚れも一緒に入ってくるし、摩擦によって刺激も受けやすくなります。

しかも皆さん、そのままにしちゃうんですよね(笑)。とくに若い子だとシャワーも浴びずにセックスして、そのまま寝ちゃうことも多い。これじゃ汚れが付きたい放題です。

まずは「デリケートな部分」という認識を

セックスの前には必ずお互いにシャワーやお風呂に入ること。した後もお風呂で洗って、そして排尿すること。これが大事です。排尿しないと、尿道から入った菌が溜まりっぱなしになってしまいますから。そして、デリケートゾーン専用の石けんで洗いましょう。膣の洗浄剤などもあるので、心配ならそういったものを使うのもいいですね。

あとは裸のままで寝ないこと(笑)。身体を冷やしてしまいます。私は普段から患者さんに「ちゃんと服着て寝ていますか。しっかり暖めて、お布団かぶって寝てください」とお話ししています。これは若い子に限らず、セックスの有無も関係なく、どなたにも当てはまることです。そうやってちゃんとケアをしてもらえば、膀胱炎といったトラブルにもなりにくくなりますよ。

そうは言っても、いざセックスする時にケアのことなんて言いづらい……、という方は多いでしょう。

ただ若い子の中には「セックスしたらこんなことになっちゃって、どうしよう」というふうに、膀胱炎などのトラブルからセックスそのものに恐怖心を抱いてしまう子もいるんです。これはセックスやデリケートゾンのケアに対する知識のなさが招いていること。デリケートだからこそ大事なことですし、ケアの必要性はもっとたくさんの方に知っていただきたいなと感じています。


2.閉経後の乾燥も原因に!


女性は更年期とともに閉経しますが、実は閉経後に膀胱炎を繰り返してしまう人がたくさんいます。女性ホルモンは皮膚や粘膜の保湿を促すホルモンなので、更年期でホルモンが減ってくるとだんだん陰部も乾燥してくるんです。そうなると外から菌が入りやすくなるし、刺激も受けやすくなって陰部のトラブルが増える。それが膀胱炎の大きな要因にもなるんですよ。なので閉経後には、うるおいを補うという点でもデリケートゾーンのケアをおすすめしています。

ほかにはVIO脱毛もいいですね。毛が多いとどうしても菌が増えやすいんです。最近は比較的ご高齢の方でも、来たる介護のために脱毛されたりしていますよ。脱毛は白髪になるとできなくなるので、やるなら早めがいいでしょう。


3.膀胱炎が「クセになる」の本当の原因は?

 

膀胱炎そのものは、一度やるとクセになる病気、というわけではありません。なのに何度も繰り返しているという方は、自分で治そうと市販薬を繰り返し飲んだり、痛みがなくなると通院をやめてしまったり……。こういった対処から毎回きちんと治りきっておらず、中途半端な状態を繰り返しているのかもしれません。

きちんと治すには、医師から処方された抗生剤を飲みきること、尿検査で菌がいなくなっていることを確認すること。この2つを覚えておいていただけたらなと思います。

佐藤亜耶 Aya Sato

自由が丘ウロケアクリニック院長。女性泌尿器科、小児医療センター等の病院に勤務後、女性と子どものための泌尿器クリニックを開院。医学博士、日本泌尿器科学会認定専門医。二児の母でもある。


取材・文/梅田千恵(スタジオ・コル)
イラスト/徳丸ゆう
構成/山崎恵

 

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第一回「その頻尿の原因も⁉女性に多い膀胱炎の原因と症状を医師が解説」
第二回「見せなきゃダメ?膀胱炎の診察と治療法を医師が解説」
第三回「コロナで膀胱炎が増えている! 市販薬はアリ?ナシ?」
第四回「セックスが原因?膀胱炎がクセになる本当の原因とは」