携帯電話最大手のNTTドコモはNTTの子会社ですが、NTTは約4兆円を投じてドコモを完全子会社にして自社と一体化する決断を行いました。これでドコモとNTTのお財布は一緒になりますから、グループ全体で値下げの負担を負うことになるでしょう。
NTTグループとしては、携帯電話の収益が悪化した分をそのまま損失にするわけにはいかないので、固定電話など別のサービスで利益を確保するかもしれません。その場合には、携帯電話以外のサービス値上げによって結局は利用者が負担することになります。
仮にこうした措置を行わなかった場合、NTTグループの業績は悪化しますから、株価が下がります。昔であれば、株式に投資している投資家が損をするだけでしたが、今は違います。
安倍政権は私たちの公的年金について安全性優先の債券投資からリスクの高い株式運用に切り換えました。つまり有力企業の株価が下がると、私たちの年金に悪影響が及ぶのです。携帯電話の値下げをどこにも転嫁できない場合、最終的には私たちの年金がその分を負担する結果となるかもしれません。
日本の場合、通信料金に加えて、極めて高価なiPhoneのシェアが高いという特徴があり、本体価格が携帯関連の支出を押し上げています。今回の値引き要請をきっかけに、通信料金の見直しを考えた人もいると思いますが、もし本当に携帯関連の支出を減らしたければ、通信料金と本体の両方をチェックする必要があるでしょう。
iPhoneは高い機種では10万円くらいしますが(分割で払っているのであまり気にしないかもしれませんが、一括で買うとそのくらいの値段です)、アンドロイドであれば安い製品では1万円台からあります。また通信も大手3社ではなく、いわゆる格安SIMにすれば料金は大幅に下がります。
格安といっても、ほとんどのサービスはドコモの回線を使っていますから、品質に大差はありません。筆者はずっと格安SIMですが、月あたりの通信料金が2000円を超えたことはほとんどない状況です。大手3社と契約している人は、価格引き下げが実現すれば、そのまま継続でよいと思いますが、あまり値段が下がらなかった場合には、格安SIMへの移行を検討した方がよいでしょう。
前回記事「「カゴパク」という信じられない行為をする人が一定数存在する理由」はこちら>>
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