コロナ下で、旅行も外食もまだなんとなく不安、という人も多いのでは?
プロのフレンチシェフ・藤野賢治さんと料理研究家・藤野嘉子さんご夫婦は、仕事で疲れた日などに手軽に味わえる夕食として「お手軽居酒屋メニュー」や「駅弁」にすることもあるそう。
藤野嘉子さんの新刊『60過ぎたらコンパクトに暮らす』では、著者が忙しい日に手軽に食べられる夕ご飯を紹介しています。藤野さんに、今、自宅で外食気分、旅気分を楽しむコツを伺いました。


軽めの夕食なら居酒屋メニューで


レストランをやっていた夫は、昼も夜も店で食べていました。休日は、研究の意味もあって外に食べに行くことが多く、夫が私の手料理を食べるようになったのは、わりと最近のことです。

 

最初は緊張しました。どういう料理が好きなのかもよくわからなくて、何を作ればいいのかと戸惑ったのです。
勘違いもありました。レストランでは仕事がハードな分、賄いも肉料理などカロリーが高めの料理が多かったので、餃子も、さっぱりした水餃子より油を使う焼き餃子が好きだと思っていたのです。

ところが、レストランの賄いでは匂いの強いものは作らないから、焼き餃子はあまり食べなかったらしく、水餃子のほうが好きだと最近、知りました。
「早く言ってくれればよかったのに」と笑ったのですが、今もまだ、夫の好みを完全には把握し切れていなくて、「それは食べたくない」ときっぱり言われることもあります。体調にもよりますし、好みは人それぞれですから、長く一緒に暮らした夫婦でも合わせるのは難しい。

食べる量は以前より少し減っています。1日3食をきちんと食べるというよりは1日2.5食くらい。2食はきちんと食べて、1食はおかずだけ、麵を半分くらいでちょうどよくなりました。

昼にしっかり食べたから、夜は軽めでいいというとき、夫がよろこぶのが「居酒屋メニュー」です。用意するのは、酒のつまみのような小さくて簡単に出せるメニュー。
夫はお酒をまったく飲まないのですが、いろいろと食べられるのがいいみたいです。私が疲れているときでも楽に作ることができます。

 

調理時間が少ないもの、ほとんどないもの、たとえば、板わさや、夫が好きな缶詰のさんまの蒲焼、にらたま、きゅうりの甘酢漬けなどを小さな器に盛り付けてテーブルに並べます。夏はところてんもいいですね。

板わさに使うわさびは、安いときに1本買って冷凍しておくと、取り出してそのまま下ろせますから便利です。すべて買ってきたものではなく、1、2品だけサッと作れるものも並べると栄養のバランスもよく、味の偏りも防げます。
にらたまは、栄養のバランスがよく、手軽なのでわが家ではよく登場します。


 にらたまの作り方 

1 にら1把を4㎝ 長さに切り、卵2個は溶きほぐす。

2 フライパンにサラダ油大さじ1を入れて、にらをサッと炒める。軽く塩・こしょうをする。

3 しんなりしてきたら、卵を回しかけフライパンをゆすり半熟にする。皿に盛り、好みで中濃ソースをかける。


無理のない範囲で作ることができる、わが家の満足ごはんです。

 
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