忙しい日の楽しみは駅弁


大人3人暮らし(私の母、夫、私)の食生活のいいところは、縛りが緩くなったことです。子どものためにこうしなくては、仕事のためにこうしよう、という決めごとが減って、さらに私も家族もお互い、できないことはできないで済ませられるようになっています。

仕事の関係で帰りが遅くなるときは、母には先にひとりで食べてもらって、夫と私はその日の体調次第ということも増え、毎日しっかり晩ごはんを作る、というプレッシャーからは解放されました。

外で食べようか、疲れたから何か買って帰ろうか、というとき、夫はきちんと作ったものが食べたいタイプですから、外食も好きなのですが、私は疲れていると家で簡単に済ませたいと思うことも。

そんなときによく利用するのが「駅弁」です。東京駅構内に、全国から取り寄せた駅弁が買える駅弁専門店があって、たまに立ち寄っています。

右上から時計回りに、明石のひっぱりだこ飯、崎陽軒のシウマイ弁当、国技館のやきとり、鶏めしで有名な高崎弁当。お店では毎回迷ってしまいます。

私は、子どものころ家族で列車に乗ってよく旅に出ました。昼ごはんは決まって駅弁。家庭の食事ともレストランの食事とも違う駅弁には、独特の楽しさがあります。
結婚してしばらく駅弁からは遠ざかっていたのですが、引っ越しを機に、車を手放し、列車に乗る機会が増えたことから、駅弁をまた食べるようになりました。

 

大人になってあらためて食べてみると、地元の名物を使ったもの、ロングセラーのものも多く、どれも個性があって美味しいのです。美味しいものが大好きな夫もよろこんでくれます。
私の好みは、おかずがいろいろ入っている幕の内弁当よりも鯛めしや柿の葉寿司、焼肉弁当などの一品もの。夫は崎陽軒のシウマイ弁当が気に入っています。

駅弁ですから、器に移したりする必要がありませんし、温めなくても美味しくいただけて、家に帰ってすぐに食べられるところも手間いらず。
手軽なのに特別感があって家族で楽しめる駅弁は、とてもありがたい存在です。

「フレンチのシェフと料理の先生のお家のごはんが駅弁なんだ!」と驚かれた方もいるかもしれませんね。でも、楽しそうでしょう? 今というときを私は心から楽しんでいます。

『60過ぎたらコンパクトに暮らす』
著 藤野嘉子 講談社

60歳という節目に暮らしを思い切り小さくした著者の、自分らしい日常の選び方やお金の使い方、楽しい時間の過ごし方とは。気持ちが軽くなる衣食住を軽快なエッセイと写真で紹介。いつでも自分の人生を楽しくするヒントが満載の一冊です。


文/庄山陽子
構成/片岡千晶(編集部)

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