(質問)市販されている風邪薬で一番よく効く薬を教えてください!
これは、あなたの持っている症状によります。まず、症状が軽ければ、そもそも薬を使わないという選択肢も考えられます。先にも述べたように、薬に「風邪を早く治す」という根拠はなく、あくまで症状を軽くするものです。自分のお気に入りの薬があるのであれば、科学はそれを否定するものでは全くありませんが、どんな薬にも副作用リスクがあることもまた見逃せません。副作用を恐れすぎる必要もありませんが、薬は適材適所が一番です。
もし、あなたの症状が軽く、「薬を飲むほどではないかな」と感じているのであれば、薬を飲む必要は全くありません。両親や祖父母から教えてもらった方法を用いても構いませんし、何よりもよく栄養、休養、水分をとることが大切です。
「何を食べれば良いか」というご質問もよくいただきますが、食欲が減っているようなときは「食べられそうだな」と思うものをとればそれで良いと思います。この食品は「健康に良い」「健康に悪い」という定説は気にしないでください。何もとれないよりは、アイスクリームでもプラスになるのです。「健康に良いか」はまた風邪が治ってから考えれば良いことです。
薬を使うときは、辛い症状に合わせて使うのが最もよく「効く」使い方です。今一番辛い症状が何なのか、まずは自分自身に問いかけてください。それが高熱や関節の痛みであれば、解熱・鎮痛薬だけを使うのが最も効果的です。この解熱・鎮痛薬は、手元にいわゆる「風邪薬」がなければ、「生理痛の薬」や「頭痛薬」を用いても構いません。頭痛薬は一般に、総合感冒薬のうち、解熱・鎮痛薬の成分だけを含んだ薬だからです。ただし、お子さん、妊婦さん、インフルエンザの方は、「アセトアミノフェン」と呼ばれる薬を選んで使う必要があります。もし分からなければ、お近くの薬局や医療機関にお問い合わせください。
逆に「熱はあるけど、鼻水はあまりない」時に、鼻汁を止める効果もある総合感冒薬を使うとどうなるでしょうか。この場合、解熱剤の効果で確かに熱は下がるかもしれませんが、必要のなかったアレルギーの薬まで投与することで、眠気やだるさの副作用でかえって具合が悪くなってしまうかもしれません。これでは「よく効く薬」とは言えません。
熱も辛いし、鼻汁も辛いし、咳も辛い。全て辛くて、睡眠も十分に取れない。こんなときは「総合感冒薬」の出番かもしれません。薬が睡眠をとる助けになってくれる可能性も高いと思います。しかし、繰り返しになりますが、風邪薬というのは飲まなくてはいけない薬ではありませんので、どのぐらい辛いかというあなたの主観に合わせて用いれば良いと思います。
(質問)風邪薬は風邪のひき始めに飲んだ方がいいと聞いたことがあるのですが、本当ですか?
ひき始めに飲んだ「方がいい」理由は何もありませんし、それで早く治るという科学的根拠もありません。むしろ、風邪薬を飲んで、熱が一時的に下がり、治ったと勘違いして、十分な休養をとるのを怠り、風邪を長引かせてしまうかもしれません。
特に新型コロナウイルスも問題となった今、風邪のひき始めにした方がいいことは、会社や学校を休み、よく休養や栄養をとることです。
2020年現在、風邪にもインフルエンザにも、新型コロナウイルスにも、軽症の患者さんに益の大きい抗ウイルス薬というのは存在しません。風邪薬は、症状が辛い時に飲めば十分です。そして、症状が軽くなったらやめてしまって構いません。
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