自分では気づけない「口臭」。特に「30代以上の女性は要注意」と語るのは、東京医科歯科大学を首席で卒業した歯科医の森下真紀先生です。マスク&ソーシャルディスタンスの時代とはいえ、口臭には匂いの問題だけではすまされない病気が隠れていることも。今すぐできる口臭対策と、その原因について聞きました。
森下真紀氏:歯学博士・歯科医・日本歯科総合研究所代表取締役社長。東京医科歯科大学歯学部歯学科を首席卒業。在学時、英国キングスカレッジ歯学部留学、東京医科歯科大学大学院にて博士号取得。都内、千葉県内の歯科医院での診療に加え、企業と口臭対策や歯周病対策でコラボするなど、「日本を世界一の歯科先進国へ」をミッションとして掲げ、歯科業界の発展に貢献すべく活動を行っている。
――口臭があっても、なかなか自分では気づけません。なぜでしょうか?
森下真紀先生(以降、森下) 非喫煙者はひどくタバコ臭く感じる部屋でも、タバコを吸っている本人はなにも感じない。こういった現象を順応反応といって、常に嗅いでいる匂いに対して嗅覚が鈍感になっている状況を指します。そのため口臭も、持続性を持てば持つほど、自分では匂いに気づけなくなってしまうのです。
自分が臭いだけならさほど害はないと思いますが、他人に対してキツい口臭を振りまけば、「スメルハラスメント」になり得ます。
とはいえ私自身、患者さんから口臭を感じても本人を傷つけてしまう恐れがあるので、ストレートに言い出しにくいことは確か。ですから、「歯周病が進んでいます。これは口臭の原因にもつながります」といったかたちでお伝えをしていますね。
――口臭の原因としてはどんなものが挙げられますか。
森下 口臭の種類は大きく「生理的口臭」「病的口臭」「飲食物・嗜好品による口臭」「心因性の口臭」に分類されますが、予防や治療ができるものとして気に留めていただきたいのは、「生理的口臭」と「病的口臭」です。
朝起きたときは口臭を強く感じますよね。こういった生活リズムに起因する口臭を「生理的口臭」と呼びます。
一方で、周囲にもはっきりとわかるほどの悪臭を放つ「病的口臭」の場合、その原因の多くは「歯周病」にあると考えられます。
「目」で口臭を確認できる唯一のもの
舌をべーっと大きく出して鏡で見てみましょう。白い堆積物が広く舌の上に広がっていますか?
歯周病ではない方で口臭がある方の大半は、「舌苔(ぜったい)」が溜まっていることがほとんどです。
また、クリニックで日々多くの患者さんと接している中でも、30代以上の女性に舌苔が溜まっている印象があります。
舌苔の付着量は、自浄・抗菌作用のある唾液の分泌量に大きく左右されます。しかし女性ホルモンのバランスによって唾液の分泌量が日々大きく変わる女性は、男性に比べて舌苔が堆積しやすいんです。
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