私たちは人生100年時代の「自分らしい人生」を、どうデザインしていけばいいのでしょう?
多様な生き方・働き方を実現する女性専門の人材エージェントWaris(ワリス)共同代表の田中美和さんが、転職や再就職、独立などの「ライフシフト」を経験した女性たちのリアルストーリーを通じて、人生100年時代を生き抜くキャリアのヒントをお届けしていきます。


今回はいつもと視点を変えて、リモート採用を実践している地方企業やNPOを取材しました。実際に働く人たちの声や日々感じるメリットとは?

「リモートOKにすることで採用の幅がぐっと広がりました」と話すのは鳥取県米子市に拠点をおくワークデザイン代表の内田光治さん(写真下)。ワークデザインは不動産会社向けにクラウド型の賃貸管理CRMシステム「カクシンクラウド」を開発・販売する会社です。6名のメンバーのうち2名が首都圏に住むフリーランスで、ひとりは広報、もうひとりは顧客対応(カスタマーサクセス)を担当しています。

“リモートOK”の地方企業が増えているワケ「小さな会社でも優秀な人材に出会える」_img0
 

実は内田さんは市内で創業50年になる老舗不動産会社ウチダレックの役員も務めています。ウチダレックは内田さんの祖父が創業した会社。土地・建物の売買仲介と賃貸が事業の柱です。東京のIT会社などで勤務した内田さんが帰郷して経営に参画したあと、ITを使った業務効率化に着手。その結果、不動産業界初の週休3日、コスト40%減、売上20%増を達成! そのノウハウをもとに開発したのがカクシンクラウドでした。

 

カクシンクラウドは物件の問い合わせ状況や顧客情報、来店状況、契約処理状況、売上状況などの情報を一元管理、リアルタイムで見える化することができ、不動産会社にとって顧客のニーズに合わせた的確な提案と業務の生産性向上を可能にします。

“リモートOK”の地方企業が増えているワケ「小さな会社でも優秀な人材に出会える」_img1
 


広報&顧客対応を担当するのはリモート勤務のフリーランス!


カクシンクラウドの魅力を発信する広報と、導入先の顧客対応を担うのがリモートのフリーランス人材の方たちです。

「広報ってとても専門性の高い職種ですよね。社員で採用しようしても、なかなか採れません。でもリモートOKで社員採用にこだわらなければ、私たちのような地方の小さい会社にもチャンスがあります」と話す内田さん。

仕事をお願いしている広報の方はもともと大手広告代理店でコーポレート・コミュニケーションを主に担当してきた方。「カクシンクラウドの認知を高めるためには代表である内田さん自身のブランディングも重要」といった観点から、SNS活用や書籍出版など新鮮なアイデアで広報戦略をリードしてくれています。

「顧客対応をしてもらっているもうひとりのフリーランスの方も同様です。鳥取で募集するとITリテラシーの高い人に出会うのが難しいんです。けれども今担当してくださっている方はもともとIT業界出身で業務経験が豊富。販売先の導入支援をしたり、マニュアルを作成してくれたりと、とても助かっています」

ふだんのコミュニケーションはチャットとウェブ会議が中心。しかし、まったく問題はないと言います。

「実は11月から、社員でも完全リモートワークの方を採用します。最近、住む場所ってどこでもよくなってきていると思っています。リモートOKにすることで優秀な人材に出会える。地方企業にとってはプラスですよね」

 
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