私たちは人生100年時代の「自分らしい人生」を、どうデザインしていけばいいのでしょう?
多様な生き方・働き方を実現する女性専門の人材エージェントWaris(ワリス)共同代表の田中美和さんが、転職や再就職、独立などの「ライフシフト」を経験した女性たちのリアルストーリーを通じて、人生100年時代を生き抜くキャリアのヒントをお届けしていきます。
※文中の氏名は仮名です。

 

「本当は4月に夫の海外転勤帯同のため渡航予定だったんですが、コロナの影響で延期になってしまって。7月末にようやくこちらへ来ました」と話すのは、東南アジアで家族と暮らすユキさん。新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、海外駐在員の配偶者(いわゆる「駐妻」「駐夫」のみなさん)のキャリアにも大きな変化が起こっています。

ユキさんは新卒で日本の大手人材派遣会社に就職。入社後5年間は営業担当、2度の産育休をへて、退職直前の3年は事業部長として3つの部署の統括も。400名以上のメンバーマネジメントの経験を積んできました。しかし、パートナーの転勤を機に2018年末に13年間の会社員人生に区切りをつけて退職。迷いはなかったのでしょうか?

「なかったですね。実は夫はすでに2年間単身赴任していて、その間に夫の存在が自分のメンタルを支えてくれているとつくづく感じたんです。ですから、たとえ日本の仕事がうまくいっていても、これ以上、家族が離れて暮らすのはないな……と考えました」
 

 

仕事を通じて「成長」してきた。だから働き続けたい


昨年から今年にかけての1年強は、パートナーの仕事の関係で現在とは別の東南アジアの都市に住んでいたというユキさん。当時勤めていた会社を退職して帯同したユキさんですが、キャリア継続を決してあきらめたわけではありませんでした。

「仕事を通じて評価されたり考えたりすることが好きで、それで成長できてきた実感があるので、働くこと自体は続けたかったんです。それに、『駐妻』ってけっこう孤独で。仕事があると無理せず社会とつながっていられますよね。そういう意味でも働きたかったんです」

渡航直後、クラウドソーシングサービスを通じていくつかリモートでできる仕事を請け負って働いていた時期があるものの、ユキさんとしてはしっくりこなかったそう。

「経験を生かして人材関係のお仕事をいくつかしました。求人広告の原稿を書いたり、電話で人材紹介会社の登録面談をしたりするような業務です。ただオンラインで完結する仕事だと、どうしても型が決まっているタスク系の仕事が中心で……。私としてはもっとクライントや関係者の方々と綿密にコミュニケーションを取りながら、自分なりに創意工夫するようなタイプの仕事をしたいと感じました」
 

コロナ禍で注目を集める「インサイドセールス」の仕事


そんなときにユキさんはWarisのブログを通じて、Waris共同代表の米倉が「駐妻経営者」としてパートナーの海外転勤に帯同しても働き続けていることを知ります。

「同じ境遇の方とお話をしてみたいという思いからご連絡をとってみたところ、たまたま『Warisでインサイドセールスの仕事をしませんか?』と声をかけていただいたんです」

 
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