④ 子どもを好きになれないと感じたときは……
私にも、「空のことを好きになれない」と感じていた時期がありました。
子どもの困った行動に振り回され、心から「大好き」だと思えず、そんな自分の気持ちに対して罪悪感を持ち、自分を責めてしまう。そうしてますますわが子を好きになれなくなってしまう……そんな悪循環に陥っている人もいるのではないでしょうか。これもマイナス思考スパイラルに陥ってしまう一つのパターンです。
子どもを好きになれないと感じたら、無理にでも抱きしめながら「大好き」と口に出してみてください。ただし、子どもがかんしゃくを起こして泣きわめいているときは、落ち着くのを待って抱きしめます。こうするとスキンシップと言葉の力で徐々に気持ちが「好き」のほうに傾いてくることもあります。
本来、自分の子どもはかわいいし、愛情をもっているからこそ子どもの行動が気になり、悩んでしまうのです。その時期を乗り越えて、また「大好き」と思える日が来るのだと思います。
行き詰まったときには、しばらく学習はお休みしてゆっくりしましょう。
布団の上でのくすぐり遊びなど、体を使った遊びによって、子どもの笑顔を引き出す時間をつくってください。わが子の笑顔を見ると癒されますよね。
子どものことを好きになれないと悩んでいるときでも、「そうだ、この笑顔が好きだったんだ!」と思えてくるのではないでしょうか。
子どもに笑顔はありますか? その笑顔はあなたが与えたものですよ。
:平岩さんからひとこと:
障害があると診断されたり、疑いがあると聞いたりしたときには、心穏やかではいられません。でも、あなたのほうを見ている子どもの笑顔をもし増やすことができたら、そしてそれにあなたがかかわることができたら……今は夢に思えてもそれが現実になる日がくるとうれしいですね!
著者プロフィール
shizuさん:自閉症療育アドバイザー。1960年代生まれ。2児の母。講演会などで、子育てで悩んでいる保護者に、日常生活のなかでできる楽しいかかわりや言葉かけを紹介している。無料メール講座「発達障害の子と楽しく生活する7つのコツ」には2000人以上が登録。著書に『「言葉がけ」ひとつで行動が変わる! 子どもの叱り方・伝え方』(PHP 研究所)がある。
【ブログ】「発達障害の子どもを伸ばす魔法の言葉」
監修
平岩幹男さん:医学博士。1951年戸畑市(現北九州市)生まれ。東京大学医学部卒業後、三井記念病院、帝京大学医学部小児科、戸田市立医療保健センターを経て、2007年Rabbit Developmental Research 開設。日本小児保健協会理事、国立成育医療研究センター理事などを歴任。東京大学医学部非常勤講師。『みんなに知ってもらいたい発達障害』(診断と治療社)など著書多数。
『発達障害の子どもを伸ばす魔法の言葉かけ』
著者:shizu 監修:平岩幹男 講談社 1400円(税別)
発達障害の子どもを伸ばすのは、親からの適切な「言葉かけ」。ABA(応用行動分析)を使用した「言葉かけ」の方法を、具体的にわかりやすく紹介します。著者が自身の体験をもとに教える、子どもも親も笑顔になれるヒントが詰まった一冊です。
構成/金澤英恵
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