実は、ドコモがahamoを発表した翌日にKDDIも新プランを発表しましたが、それほど安くなかったことに加え、従来と同様、複雑な料金体系だったことから、ネットでは大きな批判が集まりました。

2020年12月9日、auの新サービス発表会で説明するKDDI・東海林崇副社長。写真:つのだよしお/アフロ

この発表は以前から計画されていたらしく、ドコモが急に新プランを発表したことから、やめるにやめられず発表してしまったというのが真相のようですが、消費者の反発が大きいことから、同社が再度、料金の見直しを迫られるのはほぼ確実でしょう。

 


今回、ネット上でKDDIのプランに多くの批判が集まったことは非常に良いことだと筆者は思っています。

ハッキリ言ってしまえば、事業者が分かりにくい料金体系を採用する理由はひとつしかありません。本当の価格が分からないようにして、より高い価格で売ろうとしているからです。これは事業者側の一方的な理屈でしかありません。

本来、事業者というのはできるだけ分かりやすい料金体系を提示すべきであり、消費者の側も、不親切で分かりにくい料金体系にはハッキリとノーを突きつけるべきでしょう。料金体系が複雑だと、製品やサービスを適切に利用者が評価できなくなりますし、利用者も過大な手間をかけて料金を検討することになり、結果として市場全体の効率が低下します。

その分野に詳しいと、自分は複雑な料金体系を理解しているとして、知識のない人に対して「こんなことも分からないのか」などと言ってマウンティングする人もいるのですが、これでは分かりにくい価格を提示している企業の思うツボです。こんなことをしても誰も得をしません。

料金体系を分かりやすくしてこそ健全な競争が行われます。もっとも努力した事業者が大きな利益を得ることができ、利用者も得をするというのが自由市場の原理原則です。

実は、この話は政府や自治体が実施する各種政策や支援金などにも当てはまります。

この世界の常識として、分かりにくかったり、過度に仕組みが複雑な政策には、ほぼ100%何らかのウラがあると考えて差し支えありません。

支援金の場合には、実際に支払われる金額が少ないことを誤魔化すために仕組みを複雑にしているケースが見受けられます。場合によっては、行政手続きを難しくして、手続きを支援するコンサルタントに仕事が落ちるようにしているところもあります。制度が分かりにくい場合には、やはり積極的に声を上げていく姿勢が必要でしょう。


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