血圧を上げる方法は?「低血圧」の症状と原因【医師の解説】_img0
 

今回は、ペンネーム・アユミさんからのこんなご相談についてです。

「血圧を上げる方法を教えてください」

もう少し詳しく伺ってみると、「普段から朝の血圧は上が80、下が50とかなり低く、朝起きるのが難しくなってしまいました」とのことのようです。

さて、この低い血圧、いったい何が原因なのでしょうか。また、それを効果的に上げる方法はあるのでしょうか。

今回の記事では、この「低血圧」についてまとめていきたいと思います。

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【質問1】どのぐらいの値から「低血圧」と呼ぶのですか?


高血圧を持つ人が非常に多い現代において、一般的に血圧は「低ければ低いほど良い」と言われています。血圧が上がれば上がるほど、心臓の病気や脳卒中など、様々な合併症のリスクが増加すると分かっているからです。

しかし、物事は何でもバランスで、いくら低い方が良いといっても低すぎるのは問題になります。

一般的には、血圧が上の値(収縮期血圧)で90mmHg未満、下の値(拡張期血圧)で60mmHg未満のいずれかに該当し、かつなんらかの症状を伴う時に「低血圧」と判断されます。

この「症状を伴う」という点は大切で、逆に言えば、日常的に血圧が低い数値をとるものの、全く無症状という場合には、「低血圧」として対処する必要性は低くなります。むしろ、あなたの健康にとって、とても良いことかもしれません。
 

【質問2】血圧の値が低い時、まず初めに見直すべきことは?


特に症状を伴わない人では大切なことですが、一番初めに見直さなければいけないのは、血圧の測定方法や測定に用いている機器についてです。

まず、血圧測定は可能な限り上腕で行うのが適切です。手首で測るタイプのものがより安価で販売されているので好まれがちですが、測定部位が心臓からより遠くなり、手首の屈伸などによってセンサーが影響を受けてしまうことも知られています。このため、測定値が不正確になりやすく、各学会もその使用を推奨していません。手首で測定された結果は参考程度に止めておくのが良いと思います。

また、適切に上腕で計測していたとしても、マンシェット(血圧測定のために巻きつける部分)の幅が広すぎる、径が大きすぎるものを使用すると、血圧が誤って低く出てしまいます(参考1)

さらに、測定の際、腕の高さが心臓より高い位置にあっても血圧は低く測定されます。例えば、横向きに寝ていて、上側の腕で測定するような場合です。血圧を測る腕は、心臓の高さとほぼ同じ位置にある必要があるのです。

このように、マンシェットの選び方や、測定時の腕の高さのいずれもが正確な血圧測定には重要となり、見慣れない数字を見た場合には、まずは数字を疑うという姿勢も大切です。

なお、適切なマンシェットの大きさや幅はそれぞれ腕の周の長さで決まっています。詳しくはお近くの薬局や医療機関にお問い合わせください。特に痩せ型の方では、一般のものではマンシェットが大きすぎるというケースも多く、大人でも子供用のものを使わないと低く出てしまうということがあります。数字がおかしいなと思ったら、まずは適切な血圧計を使うことができているか見直してみてください。

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