「朝に鼻水がひどい時の対処法や予防法、鼻水が止まらない時にどうするのがいいかを教えて欲しいです」
そんなリクエストにおこたえすべく、前回の記事では、鼻水の原因について解説をしたうえで、しつこい鼻水を効率よく止めるには、まずしっかりと原因を突き止めることが大切とお伝えしました。
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前回記事「辛いものを食べると鼻水が出るワケ【鼻水の原因を医師が解説】」>>
今回は、いよいよ治療について触れていきます。治療は、前回ご説明した鼻水の原因それぞれに合わせて選んでいく必要があります。
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【質問1】花粉症のようなアレルギー性の鼻炎にはどんな薬が有効ですか?
花粉症が国民病である日本では、おそらくアレルギーが原因となる鼻水が最も多いのではないかと思います。アレルギー性の場合の主な治療は大きく3つに分けられます。アレルギー薬による治療、アレルゲン回避、そして免疫療法です。
薬剤治療として最も有効なのは、ステロイドと呼ばれる種の鼻スプレー型の薬剤であることがわかっています(参考1)。全身投与ではなく、鼻にだけ投与するので、重い副作用があまりないのがメリットです。
長期にわたって使用した場合、まれに重い副作用の報告がありますが、多くは一時的な鼻血など、鼻にとどまった軽いものです(参考2)。
また、その他に最もよく使われるものの一つが、抗ヒスタミン薬と呼ばれる薬です。前回の記事でご説明した通り、アレルギー性の場合には、「ヒスタミン」という物質が鍵を握っています。このヒスタミンの働きを抑えるのが抗ヒスタミン薬で、「花粉症治療薬」としても有名です。
この抗ヒスタミン薬は、鼻水だけの症状でみると、鼻スプレーと比べ、効果が落ちると考えられていますが、花粉症で目もかゆい、皮膚もかゆい、など複数の症状が出ている場合には飲み薬である抗ヒスタミン薬の効果が高いといわれています。
医療機関を受診しなくとも、市販薬で処方薬と全く同じ投与量の薬が買えるので、その点も良いところです。
欠点は、全身の副作用のリスクがあることです。比較的頻度の高い副作用として、集中力の低下や眠気といったものが挙げられます(参考3)。特に高齢の方では、転倒のリスクにつながることもあり、注意が必要です。
最近販売されている抗ヒスタミン薬は、以前のものに比べて眠気の副作用が減っているとはいえ個人差があります。花粉症である私自身もこれを飲むといつも眠気を感じてしまうので、服用はいつも寝る前だけにしています。
逆にいえば、鼻水がひどくて夜も眠れないときには、寝る前に服用することで入眠を助けるかもしれません。
また、目や口が乾いたり、長期にわたって使用すると体重増加に関連するかもしれないといった副作用の指摘もあります(参考4)。体重維持に努める方には気になる副作用かもしれません。
薬は、常にこのようなメリットとデメリットを天秤にかけながら、適材適所で用いるのが大切です。
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