ホルモン補充療法とは?
更年期に差し掛かる年齢になると、一度は耳にしたことのある「ホルモン補充療法(HRT)」。ですが、「何をする治療なのかよく知らない」という人も多いのではないでしょうか? ここで簡単におさらいしたいと思います。
ホルモン補充療法(HRT)とは、低下したエストロゲンを薬で補う治療法。
エストロゲンの欠乏による「のぼせ」「ほてり」「発汗」「性交痛」などの他、「関節痛」「骨粗しょう症」などの健康面での改善にも有効と言われています。
「HRTにはエストロゲン製剤が使用され、錠剤のお薬タイプ、シール型の貼り付けタイプ、そしてジェル剤を肌に塗るタイプの3つがあります。
HRTは一定の期間、体内に入れるわけですから患者さんのニーズに合わせ、使用方法を選べるというのも嬉しいですね」(福山先生)。
<ホルモン補充療法(HRT)>
●経口剤(お薬)
一般的な錠剤の飲み薬。服用してから胃腸を通じて肝臓で代謝され、吸収される
●貼り付け剤(シール)
下腹部に貼る薬。胃腸を通さず、皮膚から直接血液の中に吸収されるため、胃腸や肝臓の弱い人におすすめ
●ジェル剤(塗る)
肌に塗る薬。貼り薬同様、皮膚から直接血液の中に吸収されるため、胃腸と肝臓に弱い人、またはシールなどでかぶれてしまう人におすすめ
また、投与についても「周期的投与法」と「持続的投与法」の2つがあり、体の状態に合わせながら先生と相談します。
ただし、注意点も。
「HRTは体の状態によっては使用できないこともあります。
例えば、乳がん、子宮体がん、血栓症などにかかっている人や女性ホルモン剤の使用でかゆみや発疹アレルギー症状が出たことがある人、肝障害がある人など。
また、エストロゲン製剤を使用することにより、子宮体がんのリスクが上がるため、その発生を抑制する黄体ホルモン製剤と併用する必要があります。ドクターと相談しながらベストな治療法を見つけてください」(福山先生)。
漢方薬や生活習慣でも効果あり?
HRTと同様に更年期障害におすすめなのは漢方薬。
漢方薬の中には更年期障害の症状緩和に効く漢方があるのは事実。例えば、軽度の更年期障害の人や乳がんを患ってHRTが使用できないなどという人におすすめ。
「漢方にはたくさんの種類があるため、何種類か試して個人に合うものがようやく見つかることもあります。なので市販のものを試してみて効果がなくてもあきらめないでください」(福山先生)。
ちなみに、私のような具体的な更年期症状は出ていないけど、予防ケアとして漢方を飲むというのはアリ?と聞くと、「漢方はその人の症状に合わせて処方しているので、症状のない状態では難しいかも」という答えでした。
また、毎日の生活の中でも更年期障害を緩和する方法はあるのでしょうか?
「健康的な生活を意識して日々の生活を見直すよう心がけてください。例えば、バランスのとれた食事。
コレステロールや塩分は控え、ビタミン・ミネラル・カルシウムなどを積極的に撮るようにしてください。ドラッグストア等で販売している『エクエル』などイソフラボン含有サプリは効果が高いと思います」とのこと。これは参考になりますね。
「さらに適度な運動もおすすめです。ウォーキングやストレッチは血行が良くなり、生活習慣病とも言われる不眠や冷え性にも効果が期待できますよ」(福山先生)。
閉経に、更年期症状に、って現代女性は40を越えると大変なことばかりが待ち受けていそうなイメージですよね。
「更年期症状が出る人と出ない人がいますが、その差の要因のひとつに『環境』が関係していると言われています。
この世代の女性って、仕事では社会的地位が高い人が多く、ストレスも溜まるでしょ。育児に介護の他、離婚を機に体と心のバランスを崩してしまう人も。更年期障害はさまざまな要因が複雑に絡みあっているのです。
今や人生100年時代と言われるようになり、閉経してからの人生もそこそこにある。更年期によるツライ症状をがまんする人生ではなく、上手に付き合う方法を見つけて欲しいですね」という福山先生。この言葉は印象的でした。
先生の助言を参考にし、HRTはせず、適度な運動とストレッチ、それから食生活を見直して経過観察することに。毎日お酒を飲んでいましたが、週に1度飲む程度。
「お酒は止められない」と言っていたのが嘘のようです(笑)。
取材・文/長谷川真弓
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