親は子供に深い愛情を持って当然、という世間の目に、プレッシャーを感じてしまう人は多いもの。子供時代に虐待された経験があり、児童虐待防止機構理事長、アンガーマネジメントファシリテーターなどとして活動する島田妙子さんは、「大事なのは、子を無事に社会に送り届けること」とアドバイスをくれました。

 


AYKさんからの質問

Q. 女の子を熱望していた私。息子に対して深い愛情はない気がしています。


女の子を熱望していたのに生まれた子は男の子。だから正直言って、全くかわいいとか愛おしいとか思えません。親としてやるべきことはしているし、他の子供よりデキるようになってほしいと、私なりに育児は努力していますが、他の親が言うような深い愛情は持っていないのでは? と自問自答してしまいます。この先、私はどのように子供のことを思えば愛おしく感じるようになるのでしょう?(44歳)


島田妙子さんの回答

A. 社会に出るまでの“育てる担当”、そう思って子育てしてみては。


自分の子供をかわいいと思えない。これって多くの親が思うことではないのでしょうか? 私も女、女、男の3人の子供の母親ですが、最初は男の子が欲しかったので、女の子だと分かったときは「あ~……」とガッカリしたものです。さらにその娘が成長して口達者になってくると、「これだから女の子は」と腹も立ちました。正直言うと、今も3番目の男の子は特別かわいいです。でも、それでOKだと思うんですよ。どうせ大きくなったら、男女なんて関係ない。大事なのは、社会でしっかり生きてもらうことですから。

AYKさんは「自分は深い愛情を持ってないのでは?」と自問されているようですが、そんなもの、他の親にだって、持っていない人はたくさんいると思いますよ。でもまわりは気軽に言いますよね、「子供はかわいいでしょう?」と。だけど子育てって本当に大変。こちらは命がけで育てているのですから、「そんな『かわいい~♡』なんて余裕ないわい!」という感じの人はたくさんいますよ。

先ほど、大事なのは大きくなった後に社会でしっかり生きていくことだ、と言いました。そういう意味で、私は子供って、神様からの預かりものだと思っているんですよ。社会に出たら、もう「私の子」というだけの存在ではない。社会を助けるための一員。私はそれまでの、産んで育てる担当だ、と思っていたんです。

だから私は自分の子供に、「勉強しなさい」とは言いませんでした。偉くならなくてもいい。ただ、何事も人のせいにするのではなく自分でしっかり責任もって生きていける人になってほしい。そのためのサポートだけをしてきたつもりです。ほとんどの親は、実際そういう気持ちなんじゃないでしょうか。何とか社会で、無事に一人でやっていけるようになるまで育てなきゃ……という。深い愛情なんて、そんな誰もが抱いているとは思えません。だから子供を傷つけたり、子供同士を比べたりしなければ十分だと思うんですよ。自分はあくまで“担当者”なんだと思って、負い目なんか感じずに今のまま育てていかれればよいのではないでしょうか!
 

PROFILE
  • 島田 妙子1972年生まれ。兵庫県神戸市出身。児童虐待防止機構オレンジCAPO理事長、兵庫県児童虐待等対応専門アドバイザー、一般社団法人日本アンガーマネジメント協会認定アンガーマネジメントファシリテーター。7歳から父親と継母による壮絶な虐待を受ける。中学2年で児童養護施設に入所し、中学卒業後、工場勤務を経て映像制作会社に転職する。22歳で結婚。3人の子供を育てながら、児童虐待防止の活動をスタート。虐待される側だけでなく、虐待する側の心を救うことにも努めている。著書に『虐待の淵を生き抜いて』(毎日新聞出版)、『本当は怒りたくないお母さんのためのアンガーマネジメント』(到知出版社)などがある。 この人の回答一覧を見る
  • 山本 奈緒子1972年生まれ。6年間の会社員生活を経て、フリーライターに。『FRaU』や『VOCE』といった女性誌の他、週刊誌や新聞、WEBマガジンで、インタビュー、女性の生き方、また様々な流行事象分析など、主に“読み物”と言われる分野の記事を手掛ける。 この人の回答一覧を見る
 取材・文/山本奈緒子

 

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