【質問5】繰り返し起こる血圧低下の二大原因、「迷走神経反射」と「起立性低血圧」とは?


これまで紹介したような緊急事態を除いた低血圧の原因として、頻度の高いものには、「迷走神経反射」や「起立性低血圧」があります。

迷走神経反射は、典型的には身体的、精神的なストレスがかかった後、血圧が反射的に低下することで起こります。小学生が朝礼中に突如倒れてしまうというのをどこかで経験したことがあるかもしれませんが、まさにこれは迷走神経反射です。

校長先生のありがたいお話も子供にとってはストレスという場合もあるのです。このようなストレス負荷がかかりすぎると、その後急に反射的に血圧が下がって意識を失ってしまうことがあります。

お子さんや若い方のめまいや立ちくらみ、低血圧の原因の多くはこれです。また、排便後に同様の反射が起きることもあり、高齢の方では排便後に意識を失ったり、転倒してしまったりということも時々経験されます。

一方、起立性低血圧は、横になっている時にはなんでもないものの、起き上がりの際や立ち上がりの際に血圧が急激に下がってしまい、めまいや立ちくらみを起こす状態を指します。

横になっている状態から起き上がると、重力の関係で、血液はより下半身に集まりやすくなり、相対的に上半身には血液が届きにくくなります。このため、血圧が下がりやすくなるのです。健康な人では、立ち上がった時に血圧を維持できるようにすぐに血管が反応して血圧を調整しますが、血管や神経になんらかの障害がある場合には、血管の反応が鈍くなり、このようなことが起こりやすくなります。特に頭は一番高いところにきますので、頭への血流を保てなくなることで、立ちくらみやめまいといった症状につながります。

この起立性低血圧は、加齢とともに起こりやすくなります(参考2)が、高血圧や糖尿病があると、血管や神経の障害が進むので、この現象が起きやすくなります(参考3)。また、長く寝ていた後に突然起き上がると起こりやすくなることも知られています。起き上がりの時にだけ、めまいや立ちくらみが出る、血圧が下がるという場合にはこの起立性低血圧かもしれません。

巷でよく「貧血の症状がでた」と言われるのは、多くの場合、これら迷走神経反射や起立性低血圧であることがほとんどで、貧血が見つからないことも多く経験されます。

 

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