【質問4】食後の低血圧を防ぐ方法は?
食後の低血圧が起こる場合には、1回あたりの食事の量を減らし、間食を挟むなどして不足したカロリーを補うようにします。また、炭水化物の量を減らし、代わりにタンパク質を増やす工夫も有効と考えられています(参考3)。
それ以外に、食事中にもよく水分を摂取すること、食後すぐに立ち上がったり動き回ったりせず、食後は少し休みを取ることも大切です。
アルコールに血管拡張作用があるので、お酒を飲む方は、食事中の飲酒を避けるという工夫も良いでしょう。
【質問5】朝の低血圧を防ぐ方法は?
ご相談いただいたケースでは、どうやら特に朝の調子が悪いとのことでした。まずはお近くの医療機関で原因を見つけるのが先決かと思います。原因へのアプローチなくして根本的な解決なし、だからです。
朝に血圧が下がりやすい理由として、例えば部屋や体を暖めすぎてしまい、発汗で水分や塩分が失われている可能性が考えられます。
また、暖かさで血管の拡張が起こり、血圧低下が悪化していることも考えられます。このようなケースでは、対策として部屋をあたためすぎない工夫や起きがけにしっかりと水分をとる工夫が良いでしょう。
枕を2つや3つに増やすなど、頭を高くして寝る工夫も有効と考えられます。こうすることで、腎臓への血流がわずかに減り、血圧が上昇しやすくなることが知られています。横になっているだけでも血圧は下がりやすくなるということです。小さな研究ではありますが、頭を上げる工夫を1週間続けることで、朝の血圧が上がり、動けるようになったことを報告した研究もあります(参考4)。
そして、朝のコーヒーが助けになる場合もあります。カフェインには、血管拡張作用のあるアデノシンと呼ばれる物質の働きをブロックする効果が知られており、一時的に血管が広がりにくくなるのです(参考5)。血管が広がりにくくなると、血圧は下がりにくくなり、低血圧を防いでくれる助けになると考えられます。ただし、カフェインには利尿作用があり脱水になりやすくなるので、脱水を防ぐために水分摂取を組み合わせる必要があります。
さて、これまで、症状の出方に合わせてさまざまな対策法をご紹介してきました。ぜひ一つだけでなく様々な方法をトライしてみてください。その中で何か解決の糸口が見つかればと願っています。
関連記事
血圧を下げる6つの方法。「コロナで高血圧の治療を先延ばし」の危険度
かゆい!「冬のかゆみ」にどう対処する?医師への7つの質問
意外と知らない「風邪薬の真実」。医師が教える正しい飲み方と副作用は?
参考文献
1 Shen W-K, Sheldon RS, Benditt DG, et al. 2017 ACC/AHA/HRS Guideline for the Evaluation and Management of Patients With Syncope. J Am Coll Cardiol 2017. DOI:10.1016/j.jacc.2017.03.003.
2 Podoleanu C, Maggi R, Brignole M, et al. Lower Limb and Abdominal Compression Bandages Prevent Progressive Orthostatic Hypotension in Elderly Persons. A Randomized Single-Blind Controlled Study. J Am Coll Cardiol 2006. DOI:10.1016/j.jacc.2006.06.052.
3 Jansen RWMM, Lipsitz LA. Postprandial hypotension: Epidemiology, pathophysiology, and clinical management. Ann. Intern. Med. 1995. DOI:10.7326/0003-4819-122-4-199502150-00009.
4 Fan CW, Gasparro D, Crowley V, Cunningham CJ. Acute haemodynamic response to sleeping head-up at 6 inches in older inpatients. Clin Auton Res 2009. DOI:10.1007/s10286-009-0516-1.
5 Onrot J, Goldberg MR, Biaggioni I, Hollister AS, Kingaid D, Robertson D. Hemodynamic and humoral effects of caffeine in autonomic failure. Therapeutic implications for postprandial hypotension. N Engl J Med 1985. DOI:10.1056/NEJM198508293130905.
山田悠史先生に書いてほしい、テーマや質問を募集します。
山田悠史先生ご本人が読んで、回答します!
山田悠史先生へ、テーマのリクエスト・質問はこちら>>
Comment