【質問4】結局、みかんは健康によいのですか?
 

残念ながら、みかんが直接健康増進につながったということをきれいに示す科学的な根拠はありません。みかんには、風邪予防にいい、がんや心臓の病気から体を守ってくれるというようなイメージがあったかもしれませんが、そのような具体的な効果は実際のところは分かっていません。

ただし、それを示すのが難しいという現実もあります。みかんががん予防につながるかを調べるには、実際のところ、みかんを一定数食べた人と、みかんに似て非なる栄養のないみかんを食べた人とで比べて、がんが減ったということを示さなければなりませんが、そんな研究は現実的にはなかなかできません。

なので、最終的には「信じるものは救われる」としか言いようがありません。そして何より、多くの人が「健康にいいから食べている」というわけではないと思います。好きだから食べる、そして好きな物を食べる幸せは何ものにもかえがたい喜びの一つ。そういった意味では「健康によい」のではないでしょうか。     
 

 


【質問5】みかんが好きすぎるのですが、みかんは食べすぎても大丈夫ですか?
 

「食べすぎ」と言っても、ほとんどの場合には問題ないというのが端的な結論です。仮に一時的に過剰にとってしまったとしても、あなたの肝臓や腎臓がうまく適応して、過剰になった栄養素を処理してくれるからです。ただ、もちろん何事もバランスですから、みかんを信じられないほどたくさん食べれば健康被害も考えられます。ここでは、極端な例をいくつか考えてみたいと思います。


考えられるみかんの害(1) 腹痛、下痢、吐き気、嘔吐などの消化器症状が出る

食物繊維やビタミンは先にもご説明したように通常は「体によい」とされる栄養素ですが、これらも過剰にとれば害になりえます。

例えば、過剰なビタミンCは腹痛や下痢といった消化器症状を引き起こすことが知られています。最適なビタミンCの摂取量は1日当たり100mg程度(みかん3個分)と考えられています(参考3)が、過去の報告では、ビタミンCを1日で3gほど摂取すると下痢や腹痛といった症状が出る可能性が示唆されています(参考4)。つまり、みかんを90個ぐらい食べれば、下痢や腹痛の原因になる可能性が高まります。

ただ、いくらみかん好きでも、さすがに1日90個食べる方はいないのではないでしょうか。     


考えられるみかんの害(2) 尿管結石ができる

過剰なビタミンCは男性では尿管結石のリスクであることも報告されています(参考5)。なお、この研究で示されたのは、約10年間、1日あたりビタミン C 500mgを摂取していた人で尿路結石のリスクが増加していたということです。みかん3個でビタミンC 約100mgですので、毎日みかん15個を10年間食べ続ければ、リスクにつながることになりますが、これはなかなかのものです。

もちろんみかん以外からもビタミンCは摂取するわけですが、いくらか他の野菜や果物でとっているとしても、みかん約10個は食べ続けなければなりません。果物だけでリスクを増やすのはなかなかのものであると言えるのではないでしょうか。