こんにちは。新年あけましておめでとうございます。2021年、いかがお過ごしですか。
うっかりまたベストブックを発表する前に年があけてしまいました。今年のお正月休み、短くないですか。ねぇ。週末が三ヶ日にあたってしまいなんだか損した気分……ですよね。
ぶつぶつ言い訳せんと、ノンフィクション編まいります。はい。
2020年、こんな世界になるとは誰も思っておらず、出版予定だった本の中には、出版を取りやめたり、延期にしたり、あるいは逆に大幅に加筆訂正をして緊急出版された本も多かったはずです。そういう意味で2020年に刊行されたノンフィクション本は、今出さねばという著者のメッセージがくっきりしたものが多かったように思います。
そんな2020年に刊行されたノンフィクションのおすすめベスト5を発表します!
第5位は、佐久間裕美子さんと若林恵さんの『こんにちは未来』3部作

こちらはNY在住のジャーナリスト佐久間裕美子さんと『WIRED』日本版の前編集長の若林恵さんの人気ポッドキャスト番組「こんにちは未来」をもとにしたテキストブック。「ジェンダー」、「メディア」、「アメリカ」の3つのテーマに分けて再編集し3冊同時刊行されました。
個人的な話ですが、佐久間さんと若林さんとはテキサス州で開催されるテックのカンファレンス「SXSW 2018(サウスバイサウスウエスト)」のツアーをご一緒したことがありまして。そのときから、お二人の「ある事象から文脈を読み解いて言語化する」能力の高さに敬服して、ずっと追っかけているのです。
「ある事象から文脈を読み解いて言語化する」というのは、例えばアメリカであることが流行っている、流行ってることは人つの事象なんだけど、それが流行る背景にはいろんな前提があって、予兆があって……ある日爆発したみたいにブームになる文脈がありますよね。その複雑な背景と流れをピシャッと的確に言語化してくれるのが佐久間さんで、そんな見方もあるのか〜!と思いもよらない方向から分析してくれるのが若林さん、という感じなんです。
そんなお二人のポッドキャストは面白くないわけがなく。しかしお二人の話が高次元すぎて、頭が良すぎて1回聴いただけではあまり意味がわかってなかったところも、テキストで読むと「なるほどそういう話だったのか〜」と納得できたのでした。
「こんにちは未来」は2018年に始まって累計130万DLだそうで、ポッドキャストも地道に続けて人気を博せば、テキスト本を出版できるなんて未来もあるのね……!と私にも淡い夢を抱かせてくれる本でもありました。
3冊のうちどれか1冊と問われたら、ジェンダーフリートイレの話が収録された『それを感じているのは私だけじゃない ジェンダー編』が一番好きです。
第4位は、武田砂鉄さんの『わかりやすさの罪』
複雑な事象をわかりやすく説明してくれる二人と称賛した後に矛盾するのですが、「そもそもあらゆる物事はそう簡単にわかるものではない」と説くのが武田砂鉄さんの『わかりやすさの罪』です。
なんでもすぐに「納得」と「共感」に押し込めてしまう危険性。
わかりやすい「やってる感」と「スピード感」を求めるコロナ禍。
もうそれは「罠」ではなく「罪」であるとする武田さんの論調は期待通り気持ちがいいです。
「おっしゃる通りですね」という言葉にイラッとする、とか。あ〜、それ思ってた〜とうっすら感じていた違和感を言葉にしてくれてスッキリする本です。これぞコラムを読む醍醐味!
さて、次ページは第3位〜1位の発表です。
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