これまで、時代の変化とともに多種多様なエクササイズが生まれ、人の体のしくみが解明されるたびに、それまでの“常識”も上書きされてきました。「私たちは今まさに、フィットネス関連の実用書がガラリと変わる、時代の転換期にいるんです」と語るのは、パーソナルトレーナーの星野由香さん。著書『ほぐピラWORKOUT 「ほぐす」+「ピラティス」がいちばん痩せる!』は、パーツ単体をむやみに鍛えるのではなく、全身につながる筋膜にアプローチすることで体を改善へと導く、最新メソッドを教えてくれる一冊です。
美容家の神崎恵さん、モデルの谷まりあさん、EXIT・りんたろー。さんなど、多くの著名人がその効果に太鼓判を押す「ほぐピラ」とは一体どのようなトレーニングなのか、インタビューで星野先生にじっくりお聞きします!

著者プロフィール
星野由香さん:
パーソナルトレーナー。東海大学体育学部卒。学生時代より、人間が健康で美しくいるための人体構造に興味を持ち、西洋医学、東洋医学の両面から体の仕組みを探求。その理論とパーソナルトレーナーとしての実践経験をもとに、「ほぐし」と「ピラティス」を融合した独自のメソッド「ほぐピラ」を考案。多くのモデル、女優など著名人のボディを要望通りに変える、今、最も予約のとれないカリスマトレーナーとしてメディアに引っ張りだこ。
【Instagram】yuka.hoshino222
【Twitter】@Heartily0301

 

「ほぐピラ」ってどんなエクササイズなの?


私が考案した「ほぐピラ」は、筋肉・筋膜を“ほぐす”ことと、筋肉を鍛える“ピラティス”を融合させた、エクササイズメソッドです。
たとえば、お腹をへこませたいという悩みがあった場合、普通はお腹中心にエクササイズを行うのがこれまでの常識でしたが、残念ながら今は、そのアプローチ方法は正しいとは言えません。私たちの体は、いろいろな部位がお互いを補い合う形でつながっているので、個別のパーツにアプローチしてもなかなか効果を得られないんです。

お腹をへこませるためには、もちろん腹筋を鍛える必要はありますが、背骨を支える脊柱起立筋が硬くなっていると、背中をうまく丸めることができません。だから、「ほぐピラ」ではまず、突起のあるローラーやボールなどのアイテムを使って、背中の筋肉をほぐすところからスタートします。背中をほぐしてから腹筋を行うことで、お腹の筋肉の収縮運動がスムーズになり、効果も出やすくなるというわけです。

トレーニング効率アップ!おうちで作れるお手軽「ほぐピラ」アイテム
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ほぐピラは、突起のあるフォームローラーやボールなどを使うことで、効率よく「ほぐす」ことができますが、家にあるものや100円均一ショップなどで買えるもので手作りすることもできます。大きさや厚みを自分流に工夫してみてください。


急がば回れ! 意外な部位同士で引き寄せ合う“筋膜”


人間の体は、ボディスーツ型のセーターを着ているようなイメージで、全身が筋膜でつながっています。表層、深層、そして内臓関係とつながるセーターというふうに何層かに分かれていて、動きに合わせてセーターは伸び縮みするんですね。
「ほぐピラ」による筋膜へのアプローチは、セーターの首元がほつれていたら、ほつれそのものではなく、違う箇所を引っ張ってあげることで毛糸が正しい位置に戻る、という考え方をします。直接関わり合いがなさそうに見える部位でも、筋膜同士は引き寄せ合い、作用し合っているんです。気になるところを改善に導くためには、つながっている筋膜同士のひずみを直していくことが重要なのです。

可動域を広げることが、痩せる&免疫力アップにつながる

 

実際にトレーニングを受けにくる方たちの体を見てみると、長時間のデスクワークや、パソコンやスマホの狭い範囲をずっと見ていることなどが原因で、動きに偏りが生じていたり、体の可動域が固定されてしまっている方が目立ちます。

筋膜という組織は、内臓や筋肉、骨や血管にもつながっているので、筋膜が固まってしまうということは、それだけ体の不調も出やすくなります。逆に、筋膜をほぐして体の可動域を広げれば、それらの不調は改善されるということ。さらに、ピラティスで筋肉を鍛えて、本来あるべき動きのパターンを再構築してあげると、内臓機能、生理機能、ホルモン機能、さらに神経や血流なども整って、痩せやすい体になるだけでなく、免疫力アップまで期待できるのです。


スマホ、パソコンでの指の疲れオフ! 「手首・ひじほぐし」


気づかないうちに疲れをためている腕。体の機能を整えるツボがたくさんある手首やひじをほぐすだけで、肩こりや指のむくみが軽くなり、仕事の疲れが半減します。写真のような突起つきのボールがなくても、テニスボールなどで代用できます。

1.両手首の間にボールをはさんで動かす

両手首の間にボールをはさみ、手を左右交互に前後や上下に動かしたら、円を描くように動かす。特に気持ちがいい動きを多めに行って、手首のこりをほぐしましょう。

2. ひじの内側にボールをはさんで動かす

ひじの内側にボールをはさむ。腕を左右交互に前後や上下に動かしたら、円を描くように動かして、ひじの内側をほぐす。気持ちいい場所を多めに行って、ひじの疲れをオフ。


緩やかな老化の下り坂に、まず気づくこと


年齢を重ねると可動域が狭まり、偏った動きになりがちですが、筋力が低下し、筋膜が硬くなるということは、それだけ老化が進んでいるということでもあります。それでも私たちの体は、限られた範囲の動きだけで、どうにか生活を成り立たせています。
たとえば、筋力が衰えて猫背になってきたという方は、パソコンの画面を見る際に伸展(しんてん)といって、首が丸まり、頭だけが前方に突き出た状態になります。そうすると、鼻腔の軌道確保が困難になって口呼吸になることもあります。40代からは特に、本来は体によくない補助機能を使うことーー言い換えれば“代償”を払うことが増える世代なんです。

老化という下り坂はとても緩やか。あまりに緩やかすぎて普段は気づけず、ある日ふと衰えを感じて、ショックを受ける方も少なくありません。「ほぐピラ」は加齢による“代償”を払いすぎる前に、些細な変化の気づきを与えて、正しい運動パターンを再構築できるように導いてあげる、セルフ・エイジングケアのツールでもあるのです。

次回は、大人にこそ効果あり!? 二の腕・手の甲にも効く「ほぐピラ」の新常識についてお聞きします。

「星野由香 ほぐピラオンラインレッスン by VOCE」
出版記念オンラインイベント開催決定!

 
1月22日発売『ほぐピラWORKOUT 「ほぐす」+「ピラティス」がいちばん痩せる!』刊行記念オンラインレッスンを開催いたします。

【開催日時】2021年2月10日(水)20:30~21:30頃
【参加方法】Zoomウェビナー
【お申込締切】2月7日 23:59



詳細・お申込みはこちら>>
 

『ほぐピラWORKOUT 「ほぐす」+「ピラティス」がいちばん痩せる!』
著者:星野由香 講談社 1400円(税別)

筋膜・筋肉を正しく使えば、痩せるだけでなく不調も改善! お悩みの箇所だけでなく、全身のつながりを改善することで、生活の質そのものまで上向きにしてくれる著者考案のエクササイズは、40代からのエイジングケアにもぴったりです。トレーニング効率をアップするローラーは、おうちでも手作り可! 予約がとれない人気トレーナーによる、フィットネスの新時代を代表する一冊です。


写真/岩谷優一、伊藤泰寛
ヘアメイク/AYA(LA DONNA)、イワタユイナ
スタイリング/滝沢真奈
モデル/宮城 舞
取材・文/金澤英恵
構成/山崎 恵

第2回、「手の甲、首、膝...老け見えパーツが若返る、話題のエクササイズ「ほぐピラ」」>>

第3回、「りんたろー。も痩せた! 大人気トレーナーが教える食事制限では痩せない理由」は1月30日公開予定です。