2021年1月8日、緊急事態宣言が再発令された後の東京・新宿の様子。写真:西村尚己/アフロ


政府は2度目となる緊急事態宣言の発令に伴い、企業に対して出勤者を7割減らすよう呼びかけていますが、人手はあまり減っていません。昨年の緊急事態宣言以降、テレワークを行った企業は引き続きテレワークを実施しているようですが、昨年の段階でテレワークにシフトできなかった企業の場合、今からの実施は難しいという事情もあるようです。

 

緊急事態宣言が発令された1月7日以降、街中の人手は多少減ってはいますが、昨年の非常事態宣言と比較した場合、明らかに混雑しています。携帯電話の位置情報システムなどを使った人出調査によると、東京の主要駅における年末との比較では10%程度の削減を実現したようですが、前回、同様の宣言が出された2020年5月時点と比較すると、場所によっては1.5倍の混雑となっています。

街中や電車の混雑が解消されていない最大の理由はテレワークへの対応と考えられます。

内閣府が行った調査によると、コロナ前の2019年12月の段階でテレワークを実施していた企業は10.3%でしたが、緊急事態宣言発令後の2020年5月には27.7%まで増加しました。その後、比率は低下し、2020年12月時点では21.5%となっています。パーソル総研の調査では、2020年5月のテレワーク実施率は25.7%、11月時点の実施率は24.7%でした。

多少の違いはありますが、2つの調査結果は近い数値なので、現時点においてはおおよそ20〜25%の企業がテレワークを実施していると見てよいでしょう。そして、何より重要なのは、テレワークの実施率が2020年5月時点から大きく変わっていないことです。昨年の緊急事態宣言でテレワークに移行した企業の多くは、継続してテレワークを行っている可能性が高く、逆にテレワークを実施しなかった企業は引き続きオフィスでの業務を続けていると思われます。

昨年、テレワークへの移行を試みたものの、出社形式に戻した企業もありますが、こうした企業はテレワークでの業務継続が難しかったということであり、今回の宣言ではテレワークには移行しないでしょう。政府が半ば強制的にテレワークを要請すれば話は別ですが、今回の宣言では、以前からテレワークを継続している企業と、政府の呼びかけには応じず、出社で仕事を行う企業に二極分化する可能性が高いと考えられます。

以前、SNS上において、全体がほぼ真っ暗になっている外資系日本法人が入居するビルと、煌々と明かりが灯っている日本企業が入居するビルの対比が話題となっていましたが、日本企業の中でも、こうした差が鮮明になっているのかもしれません。

では、テレワークに移行できる企業とそうでない企業は何が違うのでしょうか。

 
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