病院で寝泊まり?コロナ禍で変わる「医師の生活」_img0
 

日本で、新型コロナ専門病棟勤務を経験し、いま米国でもコロナに向き合う山田悠史医師に、医師の働き方について聞きました。

山田悠史先生に書いてほしい、テーマや質問を募集します。
山田悠史先生ご本人が読んで、回答します!

山田悠史先生へ、テーマのリクエスト・質問はこちら>>

 


【質問1 診察の後はどうしているのでしょう?】


患者さん達の診察や議論を終えると、あっという間に昼を迎えます。時間がある時には昼食をとりますが、患者さんの具合が悪いなど、予期せぬことが起こったり、患者さんや家族との話し合いにその時間を使わなければならないこともあります。そんな時は、食事をスキップしてしまうことも稀ではありません。

ベッドサイドでの仕事がひと通り終わったら、様々な連絡や調整に時間を使います。朝の話し合いで決まった治療方針に合わせて、必要な検査をオーダーしたり、例えば外科医に相談事ができた時には、外科医に電話をして手術の相談をしたりします。その際、ここニューヨークの私の病院では、いまだにポケットベルを使っているため、ポケットベルを鳴らして、返答を待つという数十年前のような働き方をしています。

少し仕事が落ち着いてきたら、その日に起こったことや検査の結果など、今後の治療方針を記録に残すため、カルテを記載します。特に米国では医療訴訟も多く、「記録されていないことはやっていない」とみなされる原則から、カルテはきっちり長々と書かなければなりません。このカルテの記録だけでも1時間や2時間では済まないほど時間がかかります。その間にも患者さんの家族から電話が来たり、病棟の看護師から患者の様子が変化したと電話がかかってきたり、コールセンターで仕事をしているのかと思うほど山ほど電話を受けることもザラです。数年前まで英語が億劫だった自分が、ほとんど苦にならない程になったのは、この大量の電話のおかげだと思います。

そんな風にしているとあっという間に夜になります。ここで新たな入院患者さんが入ってくると、一から新たな入院患者に話を聞きにいき、診察をし、治療方針を決定し、電子カルテ内で検査を全て発注し、カルテに記録を残し、となります。また、これだけですぐに1時間や2時間が経過します。

これがコロナウイルスの流行で、あっという間に複数人の入院が自分のところに入ってきたとしましょう。2~3人の入院患者さんでも、2時間や3時間が平気で過ぎるので時間がいくらあっても足りないですね。

 
  • 1
  • 2