【学校の問題2】ICTの遅れ

コロナ禍が浮き彫りにした日本の学校の「深刻な問題点」とは_img0
 

生徒との対面でのコミュニケーションは、どの教師もとても大事にしています。対面で何かあった時に、「言ってきかせる」ことで生徒がだんだん変化していくのは、生徒にとっても教師にとっても思い出深いものであり、卒業後も「あの時、先生に~と言われまして」みたいな話として語られもします。卒業式の時に、生徒から感謝の言葉をもらったりすると、それだけで苦労も吹き飛び、教師になって良かったと思ったりもするものです。

 

このこと自体はとてもよいとは思いますが、生徒とのコミュニケーションが、すべての生徒に対して多くの局面でカバーされているかというと、そういうわけではありません。

あまり問題を起こさない生徒、教師の意見には忖度して同意する態度だけを示す生徒も当然います。特に、成績優秀で運動も得意といった生徒でも自己肯定感に欠けると感じているケースも多いのですが、そうした生徒とのコミュニケーションをどう取っていくのか、考える必要もあります。

「対面」のコミュニケーションはたしかに大事ではありますが、それだけが絶対ではなく他の手段も大いにあり得ることを認識したいところです。

授業の観点から考えてみます。
40人学級で、教師のチョーク&トークだけで、授業が一斉に進められていますが、果たしてどのくらいの割合の生徒が、授業の中味を理解しているのでしょうか。ICTをうまく活用すれば、授業を繰り返し聞けたり、時としては倍速でみることもでき、効果的だとオンライン学習で感じたりもしました。

英語や数学といった問題演習が多い科目で、問題を解くスピードの違いをどのように解消していくのかは、かねてからの問題でしたが、ICTを活用して、個人の理解度ベースで個別の問題に取り組むこともできます。

また、授業中「〜についてどう考えるか?」という問いに対して、生徒全員の前でうまく発表できる生徒は限られています。自分の意見を述べる機会を失い、もっと言えば、思考停止のままその場をやり過ごしている生徒はどのくらいいるのでしょうか。これもICTを活用することで、自分の考えを端末に表現し、他人の考えを知ることも可能ですし、匿名性を担保することもできます。