米国在住の医師として、すでに新型コロナのワクチンを接種している山田悠史医師。新型コロナのワクチン接種を経験している数少ない日本人医師として、多くのテレビ番組にも出演し、ワクチンについての解説を行っています。
その山田悠史医師が、みなさんからの質問にお答えします。

 

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【質問】ワクチン接種によって悪化する持病はありますか?


ワクチン接種によって悪化する持病というのは今のところ知られていません。臨床試験のデータだけでも数万人単位でのデータが公開されていますが、その中でワクチンとの因果関係が証明された悪化の報告というのは今のところありません。

例えば、私が接種を受けたファイザー製のワクチンの臨床試験では4万人近い参加者のうち、約20%の人が何らかの持病を抱えていました(参考文献1)。内訳としては、がんの方が4%、慢性肺疾患の方が8%、糖尿病の方が8%、腎臓の病気の方が1%弱といったところでした。

総数が4万人ほどに上りますから、20%だと概算で8000人とそれなりの数の人が持病を抱えながらワクチン接種を受けていたことが分かります。

ワクチンの有効性や安全性のデータというのは、実はこういった人たちも含めた上でのデータになります。

一方、その持病によっても異なりますが、一般に持病を抱えた人の方が、ワクチンを「受けない」ことを選択した際のリスクは高くなります。コロナウイルス感染による重症化や命につながる個人のリスクが高くなってしまうからです。

このように、ワクチンによるリスクももちろんゼロとは言えませんが、感染によるリスクがそれを上回る形で高くなるため、現在持病を持っている方は多くの国で優先的に接種を受けられるように計画されています。
 


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参考文献
1. Polack FP, Thomas SJ, Kitchin N, et al. Safety and Efficacy of the BNT162b2 mRNA Covid-19 Vaccine. N Engl J Med 2020; 383: 2603–15.

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