総務省が行っている家計調査の結果から、コロナ危機によって2020年の消費支出が5.3%減ったことが明らかとなりました。2人以上の世帯の平均値で見ると、年間19万円以上の減少です。
一方、世帯収入は年間28万円ほど増えています。コロナ危機で収入が減った人も多いと思いますが、平均値では、特別定額給付金があったことからプラスという結果になりました。整理すると、コロナ危機によって多くの世帯が支出を絞ると同時に、イザという時に備えて給付金の多くは貯蓄に回したことが分かります。
経済全体のことを考えた場合、多くの人がもっと積極的にお金を使った方が景気浮揚効果は大きいのですが、こうした危機が発生した時には、支出は控え目にして手元の現金を増やし、不測の事態に備えるのは定石ですから、多くの世帯がこうした行動を取ったと思われます。
では各世帯は、具体的にどのような支出を増減させたのでしょうか。
当たり前といえば当たり前ですが、支出が大幅に増えたのは外食以外の食費で5.6%の増加でした。一方、外食は26%のマイナスとなっています。確かにこの数字では、飲食店の経営が大変な状況になるのもうなずけます。飲食店の苦境が気になる人、多少、お金に余裕がある人は、デリバリーを積極的にオーダーした方がよいかもしれません。
食費の中で顕著に増えているのは麺類です。うどん・そばは13.5%増、スパゲッティは26.2%増、即席麺は21.1%増でした。テレワークなどの巣ごもりで自炊が増え、手軽に作れるメニューが好まれたものと思われます。比較的に簡単に作れるメニューについては賛否両論がありますが、今はコロナという非常時ですし、家事でラクをすることは悪いことだとは思いません。
余った時間を他で有効活用できるのであれば、食事で多少、手抜きをするのもアリではないでしょうか。巣ごもりでストレスが溜っている中、「食事もしっかり作らないと」などと考えてしまうと、自分を追い込んでしまいますから、合理的に判断した方がよいでしょう。
少し気になるのは、酒類の消費が増えていることです。ビールは6%増でしたが、ウイスキーは36.6%増、チューハイ・カクテルは32.5%増と大幅に支出が増えました。統計ではこれ以上細かい区分はありませんが、チューハイ・カクテルの一定割合は、いわゆるストロング系のチューハイではないかと思われます。もしそうだとすると、ビールなどアルコール度数が少ないお酒はあまり増えていないものの、アルコール度数が高いお酒に対する支出が大幅に増えたことになります。
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