実際、私たちの会社では2013年からフリーランスとして働きたい女性と企業との仕事のマッチング事業を手がけてきましたが、「フリーランスとして働きたい女性」たちの多くは時間と場所の自由度を求めていたのは事実です。会社員として働いていると、なかなか働く時間と場所の固定化から抜け出せず、であれば思い切って独立してフリーランスに……、といった志向がありました。そうした傾向を考えると、コロナ禍は働く時間と場所の自由度を一気に推し進めた事象であったのは間違いありませんし、それを「プラス」と考える女性が多いのは極めて納得のいく結果です。

ただ、前述しましたように、対面型のサービスに従事している女性たちにとってはリモートワークは難しいですし、リモートワークの浸透度合いは地域差が大きい実情があります。それでも、コロナ禍をきっかけに長年の「オフィス常駐前提」の働き方に風穴が開いたのは大きな出来事だったと思います。

また、「キャリアを見直すきっかけになった」人も全体の3割にのぼり、大きな変化を目の当たりにし、自分自身と向き合う人も多かったようです。実際、女性向けの転職サイトを運営する会社の友人と話すと新規の会員登録や求人応募者数、アクティブユーザー数が過去のギネス記録を塗り替えるほどだと言います。加えて通勤時間や勤務時間が減ったことで自分の時間ができ、趣味や副業に時間を使うようになった人が増えたのも傾向のひとつですね。

一方、「マイナスの変化」の具体的な内容は以下です。

 

「会社でのコミュニケーションが減った」、「リモートワークで会社でのちょっとした相談ができなくなり、ミーティングの時間が増えた」など、コミュニケーションのあり方が変わりとまどったケースが多かったようです。リモートワークでも、気軽なコミュニケーションが活性化されるよう、社内での工夫が必要です。

 

「在宅勤務もできる職種だが、会社の意向で出社しないといけない。(30代女性)」
「保育園から、在宅勤務時にはなるべく自宅で保育してほしいという要請があり、未就学児を見ながら働かなくてはならない場合が増えた。(30代女性)」

といった声もありました。いずれにしてもリモートワークの有無が働き方の満足度に強く影響していることが明確に示された結果でした。

リモートワーク、フリーランス、副業・兼業……。コロナ禍はここ数年じわりじわりと進んできた「働き方の多様化」を急激に推し進めた印象があります。私たちを取り巻く働き方の選択肢は確実に多様になってきています。二度目の緊急事態宣言に際しても、私が日々接しているかぎりでは企業の採用活動にはほぼ影響がありません。

「今後、自分はどんな働き方をしていきたいか?」ーーあらためて自分の意思を問い直してみてもいいかもしれません。

前回記事「カウンセラーが教える、転職成功3つのコツ「コロナ禍で女性のキャリア相談が2倍に!」」はこちら>>

 
  • 1
  • 2