3月に入りました。春について書かれた文学作品は数え切れないほどありますが、思いつくままにつらつらと。まず浮かぶのは『伊勢物語』、「月やあらぬ 春や昔の春ならぬ わが身ひとつはもとの身にして」という短歌。25歳で夭折した俳人、住宅顕信の「若さとはこんな淋しい春なのか」という俳句。なんだか淋しいものばかりを連想しておりますが、春といっていつも最初に思い出すのは村上春樹の『ランゲルハンス島の午後』のラストにおさめられている、同名のエッセイです。4月のお話なんですが、ぽかぽかとあたたかな様子が静かでなんとも気持ちよさそうで。こういうのを一度やってみたいなと、ずっと憧れています。今年はできるかな。
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