米国在住の医師として、すでに新型コロナのワクチンを接種している山田悠史医師。コロナワクチン接種を経験している数少ない日本人医師として、多くのテレビ番組にも出演し、ワクチンについての解説を行っています。
その山田悠史医師が、みなさんからの質問にお答えします。

 

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【質問】 ワクチンによって自閉症を発症すると言うツイートを見かけました。とても理解出来ません。専門家の先生の意見をうかがいたいです 。


まず、ワクチンが原因で自閉症を発症するという事実はありません。たしかに、ワクチンと自閉症が結びつくとは、歴史的背景をご存知ない方にとってはなかなか想像しがたいことかと思います。

この事の発端は、MMRワクチンと呼ばれる、はしか、おたふく風邪、風疹(三日はしか)の3種混合ワクチンの歴史にあります。

そもそも自閉症(現在はより広く「自閉症スペクトラム」という概念で捉えられています)は、1980年代頃から、認知の広がりや診断基準の見直しを背景にして、診断される人の数が増加しました。ちょうどその頃、子供が接種すべきワクチンの数が増え、ワクチンで起こったのではないか、と疑いをかけられてしまうことになりました。

言うまでもないことかもしれませんが、MMRワクチンを含むワクチンは、お子さんを様々な感染症から守る上でとても重要な役割を果たしてきています。実際に種々のワクチンが、子供の感染症の発症を見違えるほど減らしてきたことが数々の論文で報告されています(参考1)。それほど、ワクチンが感染症撲滅に対して果たしてきた役割というのは大きいのです。

一方で、当時から元気なお子さんにあえてワクチン接種を進める意義が十分に理解されず、そのような疑い、不安が広がっていたことも事実です。

このような状況を背景として、実際にMMRワクチン接種と自閉症の発症の間に相関があるのではないかと考えられるようになり、それを示唆する論文も報告され、話題になりました。

しかし、実際にはその論文で、被験者を反ワクチン組織から集め、自閉症を発症していなかったのにも関わらず自閉症を発症したと報告したり、ワクチン接種前から症状があったにも関わらず接種後に発症したとみなしたりと、様々な虚偽報告が含まれていたことが後から判明しました。もちろん同論文は現在では、取り下げとなっています(参考2)

また、その後本当に関係性があるのかを調べるために、透明性を高めたいくつもの研究が行われ、現在ではMMRワクチンと自閉症の発症との関連は否定されています(参考3)

 
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