未だ収束の兆しが見えない新型コロナウイルス。そのせいですっかり定着したテレワークの普及が後押ししてか、都内から湘南へ移住する人が軒並み増えているといいます。そこで、昨年秋に愛する東京に別れを告げ、縁もゆかりもない湘南に単身移住を決め込んだフリーランスの編集ライターが、「湘南移住に失敗しないために知っておきたいこと」を伝授。

「都内までのアクセスは電車で約1時間」ーーそれ以外は、とくに事前にリサーチをすることもなく、文字通り“ノリ”でこの地にきて早5ヵ月。新米湘南暮らしから見えてきたリアルな実情をお届けします。

 


1 物件探しは直感勝負。条件の良い部屋は即埋まると心得て


賃貸マンションの場合です(ごめんなさい、分譲は分かりかねます)。「せっかく高いお金をかけるのだし、ましてや湘南。絶対に妥協したくない!」と、スマホにかじりつくように不動産アプリを見まくっていた昨年6月。当時住んでいた都内のマンションよりも10平米や15平米以上も広くなるのに下がる家賃に思わず取り乱しそうになりながら吟味した結果、問い合わせる物件は見事に先約アリばかり。

不動産会社いわく「湘南エリアへの移住者がすごい勢いで増えているため、内見せずに決める人がめちゃくちゃ多いです」とのこと。とくに男性は、日当たりや洗面台の収納なんて気にせず、間取りと駅からの距離さえ納得すれば、内見せずにさくっと決めてしまうそう。

とはいえ、部屋も人もすべてはご縁。もちろん焦りは禁物ですが、ピンとくる物件があれば、その直感を信じて決断する力は必要だと思います。

とても気に入っている家は、海まで徒歩15分。低層マンション最上階、角部屋、広めの1LDK、日当たり最高。都内のマンションよりも15平米くらい広くなり、家賃は約3万さがった


2 「不便」を楽しめる心(時間)の余裕がない人はキツいかも?


生まれ育った地元でも東京でも、今までずっと駅徒歩5分圏内で生きてきました。コンビニもスーパーも数分どころか数十秒という立地。けれど今の自宅は駅徒歩22分(最寄りのコンビニまでは徒歩8分、スーパーまでは徒歩12分といった具合)! さらに都内で仕事があるときは、最寄り駅から1時間ないし1時間半かかるので、ドアtoドアで2時間超えなんてざら(乗車距離が長いぶん遅延の影響も大きいから、いつも1本早いのに乗るようにしている)。

これまで分刻みのスケジュールがデフォルトだったせいで「距離」を「無駄」と感じてしまい、はじめのうちはストレスに感じることもありました。けれど、移住と同時に仕事のボリュームを減らし、時間にゆとりをもたせる生活にシフトしたので、「不便さ」に慣れるまでそう時間はかかりませんでしたが、毎朝都内に通勤している人や、多忙を極めている人なんかは、負担に感じるかもしれません。

その他にも湘南暮らしには、都内暮らしに比べ小さな「不便」がたくさんあります。その「不便」によって生まれる「時間の余白」を楽しむことこそ湘南暮らしの醍醐味だと、そう感じます。
 

不便と引き換えに手に入れたのは、海に沈む美しい夕陽を日常的に拝めること。サンセットの時間になると、どこからともなく人が集まり、夕陽が沈むのをただただ見つめる
 
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