家族や親戚、友人や職場などに「乳がんになった人がいる」という方でも、自分は「定期検診も受けているし、問題ないから大丈夫」と考えている方は少なくないかもしれません。身近ながんであり、増え続けているらしい、ということは理解していても、自分のおっぱいに高い意識を向け続けることは、簡単なことではないですよね。しかし、乳腺専門医の緒方晴樹先生のお話からは、乳がんは“私たちの背後をピタリと尾行し続けるもの”だということを窺い知ることができます。そこで今回は、日本の乳がん患者数の実態と予防方法についてご紹介します。
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乳がんの再発・転移の確率は?乳腺専門医への取材でわかった、治療の最新事情>>
1. 若い世代に増えているってホント?
→「全世代で増えている」が正しい表現です。
若い世代に限らず、2005年頃から全年齢的に増加傾向にあるというのが正しいですね。国立がんセンターの2015年の統計によれば、日本で乳がんと診断された女性の数は年間で9万3529人に上ります。一生のうち「11人に1人」が乳がんと診断される世の中になってきているのです。
一般の方にとって乳がんは、閉経後のリスクが高い病気、または65歳以上の女性がなるがん、というイメージが強いかもしれません。年齢が上がるにつれて乳がんリスクも上昇するため、その認識は決して間違いではありませんが、乳がんに罹患する年齢でもっとも多いのは、働き盛りで育児世代でもある40~59歳女性なのです。また、40~59歳女性のがん死亡率1位は乳がんであるということも、ぜひ覚えておいていただきたい現実です。
元々、乳がんはアジア人に少なく、欧米人に多いがんでした。日本を含めたアジア圏の食生活が欧米化するに伴い、普段から高脂質の食事を摂ることが増えたことなども起因して、日本における乳がん患者数も増えていると考えられています。
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