予防接種を受けるリスク


一方、予防接種を受けるリスクというのは副反応です。副反応には、接種部位の痛みや発熱など比較的頻度の高いものもありますが、いずれも比較的短期間で、軽症で済むことが分かっています。

一方、命につながりうる副反応というと、例えば重いアレルギーであるアナフィラキシーなどが挙げられます。これは、100万人に2人や4人の割合で報告されているものです。確かに重大な副反応ですが、とても稀なものであるのも事実です。

そのほかにも、アストラゼネカのワクチンでは「血栓症」の可能性も指摘されていますが、こちらも仮に因果関係があったとしてもとても稀なものです。

また、長期の副反応を心配される方もいますが、そもそもワクチンの成分自体1週間もしないうちに分解されてなくなってしまうものです。

その後、免疫関連の副反応が長期的に出現する可能性もありますが、過去のワクチンの経験では、免疫関連の副反応でも大半が2~3ヵ月程度で出現することが知られています。このため、もちろん正確には、5年後の副反応は5年後までわからないということになります。が、その可能性が特別に懸念されているわけではなく、その可能性を疑う良い理由もありません。

 


ニューヨークの現在


このように、副反応のリスクはゼロではなく一定に存在しているのは疑いようのない事実ですが、先の買い物の話と同様、買い物をするメリット(ないしは買い物をしないデメリット)と比較をしたときに、それに伴う副反応のリスクというのは十分に小さく、そのリスクをとる価値のあることだと考えられます。

こちらニューヨークでは、入居者のワクチン接種がすでに完了した介護施設で面会の制限が解除になりました。マスクを外しての面会もできるようになりました。また、そういった入居者の方がCOVIDで入院され、重症化するケースもほとんど見なくなりました。これは紛れもないワクチンの効果であろうと期待が持てる現状だと思います。これらは本当に大きな前進です。

こういったことはいずれも、ワクチンの存在なしに安全に行うことはできませんでした。

このようなことを踏まえ、私なら、自分の母が同じように基礎疾患を持っていて薬を複数内服していたとしても強くワクチンを勧めたいと思います。ただもちろん、個々に様々なご事情もあると思います。そういったご心配を、お母様のかかりつけの医師にぜひご相談いただき、改めて話をする時間を作っていただくのも大切なことではないでしょうか。
 


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