トリュフォーにゴダールと、青春時代はフランス映画がおしゃれのアイコンだった、元オリーブ少女でアラフィフ世代の私。とはいえフランス映画はもはやとんとご無沙汰で、観るのはもっぱらハリウッド大作かNetflixオリジナルムービーが中心となっておりました。そんな私が最近ハマって観ていたのが、Netflixで配信中の『エージェント物語』。こちら、日本のNetflixユーザーには何故か影が薄いフランス制作のドラマなのですが、何となく観始めたらどんどん面白くなって、一気見してしまったのです。
まず何と言っても、ゲスト俳優のラインナップが超超超ゴージャス。イザベル・アジャーニにジャン・レノ、ジュリエット・ビノシュにモニカ・ベルッチ、イザベル・ユペール、そして元オリーブ少女の永遠のアイドルである、
シャルロット・ゲンズブールまで。モニカはイタリア人ですが、とにかくフランスの大スターたちが惜しげも無く本人役で出てくるのです。日本で言うと、以前『古畑任三郎』の犯人役でイチローやSMAP、桃井かおりらが毎回ゲスト出演していたけれど、あんな感じでしょうか。
ドラマのストーリーは、フランスの一流芸能事務所で働くエージェントたちの人間模様。華やかな芸能界の裏で仕事のために泥臭く奔走し、プライベートで苦悩する彼/彼女らの姿をコメディタッチで描いているのだけど、同じくNetflix作品でアメリカ制作の、「アメリカ人が理想化した」キラキラしたパリが舞台の『エミリー、パリへ行く』の世界観とは真逆。リアルなパリジェンヌを描いているので、その対比も興味深い!
例えばファッション。『エミリー』の方はSATCでブレイクしたアメリカ人スタイリストのパトリシア・フィールドが担当していてやたらと派手だけど、こちらは言うなればおしゃれスナップ常連の仏VOGUE編集長エマニュエル・アルト風の、仕立てのいいシャツと黒スキニーのさりげない組み合わせ。それを抜群のスリム体型で着こなし、髪の毛はアンニュイで無造作なロングヘア。そうそう、私が見たかったパリジェンヌって、こういうやつ〜! 裏では必死にボディを鍛えて洋服選びもめちゃくちゃ計算尽くなんだけど、「クローゼットにある服適当に着て、ヘアも寝起きのままだけどキマってるエフォートレスな私」を演出。これこそが、昔『オリーブ』や『エル・ジャポン』で見てきたパリジェンヌの真骨頂ではありませんか。
『エミリー』の女ボス役でも出演しているフィリピーヌ・ルロワ=ボリューが、計算高いマネージャー、マティアスの奥さん役で出ているのも見どころのひとつ。『エミリー』ではやたらとスリットの入ったスカートでめかし込んでいたけれど、こちらでは常にスキニーデニム。でもどちらも57歳(には絶対に見えない)の彼女の成熟した美しさが見事に発揮されていて、彼女が出てくる度に視線が画面に釘付けになってしまいます。ゲストのモニカにせよ彼女にせよ、ヨーロッパの素敵に年齢を重ねた女性って若い子には太刀打ちできない色気とエレガンスがあるんですよね〜。
ストーリーも、ライバル事務所とのタレント引き抜き合戦や俳優からの無理難題のミッションなどなど、ハラハラするシチュエーションをコメディタッチで描いていて、ついつい次のエピソードをクリックして見続けてしまう面白さ。アメリカ制作ドラマのようなわかりやすい派手さはないのだけれど、じわじわと癖になり、気づいたら中毒症状に。
シーズン4まで配信されているのですが、最後のエピソードを観終わってしまい、「え〜〜! これで終わっちゃうの? みんなの活躍がもっと観たい」と、さみしくなってしまいました。『エージェント物語』ロス!
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