女性活用って誰のため?資本主義が生んだ「女性間の分断」と希望_img0
 

2012年末からの第二次安倍政権が「女性活用」を打ち出してから早8年が過ぎました。この間、私も2014年に出した『「育休世代」のジレンマ~女性活用はなぜ失敗するのか』が時流に乗っていたこともあり、関連するシンポジウムなどに多く登壇してきました。企業向けのセミナーにもかかわってきました。

 

当時から「女性活用」という言葉は物議を醸していました。企業の利益のため、生産性のため、経済のために女性を働かせるという風に聞こえるからです。そもそも安倍政権の施策に対して、なぜ企業に勤める一部の女性だけを引き上げて、弱い立場に置かれた人たちの問題を扱わないのかという批判がありました。

昨年来のコロナ禍でも、リモートワークで対応できるようになり夫婦の家事分担が改善され、子どもと過ごす時間がかえって増えたという恵まれた共働き家庭がいる一方で、実際に打撃を受けたのは非正規などで働く女性たちでした。弱い立場の人達のことを考えるべき。そちらのセーフティネットが優先課題。このような意見には同意します。

ただ、かといって相対的に強い立場に置かれた女性たちが置かれている問題について全く扱わなくてもいいのか、それでは指導的地位に就く女性は増えないし社会は変わらないのではないか。優先順位的な問題はあれど、それはそれで指摘していく必要がある……。私はそのような立場で議論をしてきました。

今年に入ってから、『99%のためのフェミニズム宣言』という本を読みました。実は数か月前に読んですぐにコラムを書きかけたのですが、それを表に出すのには少し時間と覚悟が必要でした。

 
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