先日ミモレで「喉と胸のつまり感で不安に襲われ病院へ足を運んだ」という記事をアップすると読者の皆さんから「私も同じような経験がある」「原因のわからない体調不良に悩んでいる」「調子は悪いけど、病気かどうかわからない……」など、たくさんのコメントが寄せられました。
そこで今回は、更年期女性に多い「喉のつまり」の診断や治療について、女性医療専門医の関口由紀先生に教えてもらいました。

 


喉が締め付けられたような症状は
強いストレスを感じているサインかも!?


これまでに感じたことのない、喉と胸のつまるような痛みを感じたら、あなたはどうしますか。
当該記事を書いた編集長は新型コロナや食道がんを疑い、PCR検査と内視鏡検査を受けました。結果、新型コロナは陰性、内視鏡検査では逆流性食道炎と診断されたものの、喉の痛みは「ヒステリー球(咽喉頭異常感症)」という診断がついたそうです。

「ストレスがかかると、首を絞めつけられたような症状がでます。
・喉の違和感
・喉や胸が詰まったような感じ
・胸やけがする。
まるでピンポン球がのどにつまったような不快な状態なので、咽喉頭異常感症は『ヒステリー球』とも呼ばれています。あまりにも症状は重い場合には食道がんの疑いもあるので、消化管の検査をおすすめしたいです」(関口先生)

確かに症状は逆流性食道炎と似ていて、主な原因がストレスなのも同じ。何科を受診すればいいか悩むところです。
実際、記者も以前に胸の苦しさを覚え、消化器内科に駆け込み、胃カメラ検査を受けた経験があります。そして、やはり「逆流性食道炎」と診断を受け、薬を処方されました。振り返ると、当時亡き母ががん闘病中で、強いストレスを受けていたのが原因だったのかもしれません。

「消化器内科を受診すると、問診だけで逆流性食道炎と診断されることがあり、胃酸分泌を抑制する効果のある薬を処方されます。それが『ヒステリー球』であったとしても、改善することはあります。内視鏡検査を受けた場合には、食道の病変があれば採取し、病理検査で悪性か良性を確認できますので、他の病気であった場合に早期発見につながるのはメリットです」(関口先生)

では消化器内科で改善が見られない時は、どうしたら良いのでしょうか。

ホルモンがアップダウンする更年期は
知覚過敏で心身の悩みが増える


喉のつまりはストレスを感じている最初のサイン。しかも、女性ホルモンのアップダウンが激しい更年期では神経過敏になるため、現れやすい症状だと関口先生は指摘します。

「女性ホルモンが下がってくる更年期は、心も体も感覚が過敏になります。皮膚が痒い、頭が痛い、手先が冷える、肩が凝る。そして、喉の違和感を訴える方も多いです。消化器内科を受診して、逆流性食道炎と診断されて、薬を処方されて良くなることもありますが、良くならない場合は、漢方、ホルモン補充、抗不安薬などいろいろ対処法があります」(関口先生)

毎日、頑張りすぎてしまう方は、ストレスに無自覚。少しでも体調の異変を感じたら、自分と向き合って、何がストレスなのか考えてみることです。ストレスの原因がわかれば、それを取り除くのがベストですが、そう簡単にはいかないはず。
まずは、規則正しい生活を意識してください。次にマッサージ、アロマ、入浴など、とにかくリラックス。それでも改善しない場合は……。

「更年期の喉のつまりには、先述の記事にも書かれていた漢方薬の『半夏厚朴湯(ハンゲコウボクトウ)』が特効薬です。まずは市販のものを購入して、2週間ほど飲んでみてください。急性期の場合なら、ほとんどの症状が改善されます。効果が自覚できたら、最寄りの漢方を扱っている医療機関へ行って処方してもらうといいでしょう」(関口先生)

厚朴(コウボク)は体の管や袋の臓器をリラックスさせる、違和感をとる効果があり、胸や胃、膀胱などに効きます。厚朴が入っている漢方薬は10種類ほどあり、その中の一番有名なのが半夏厚朴湯ですが、他にも、加味逍遙散(カミショウヨウサン)は更年期障害の代表的なお薬。喘息や呼吸器の炎症には小柴胡湯(ショウサイコトウ)や柴朴湯(サイボクトウ)も効果が期待できるそう。


「女性の45〜55歳はいわゆる閉経に向かう更年期で、ホルモンのアップダウンが激しいです。ただでさえ脳はそれに対応できず、感覚過敏になっているのに、コロナ禍の今は、不安やストレスが追い打ちをかけてしまう⋯⋯ 。そうなると卵巣予備能が落ちてFSH(卵胞刺激ホルモン)が上がり、エストラジオール(女性ホルモン)の分泌が落ち、それでいろいろ心身のトラブルが出てきます。すっかり閉経して女性ホルモンが下がりきってしまえば、ある程度低レベルで安定して、それまでの更年期障害の悩みは消える方がほとんど。更年期世代の方が体調不良を感じたら、女性医療外来へ足を運んでみるのはひとつの選択肢です」(関口先生)

関口 由紀先生 女性医療クリニックLUNAグループ

日本では数少ない女性泌尿器科専門医である。日本泌尿機能学会指導医・専門医。日本東洋医学会指導医・専門医。日本性機能学会専門医。日本排尿機能学会専門医。経営学修士(MBA)。「女性の身体は、全身的に診ていく必要がある」と、婦人科、女性泌尿器科、内科、漢方内科、乳腺科、皮膚科、美容皮膚科、などを揃えた女性医療クリニックLUNAグループを展開中。

取材・文/熊本美加